第10話『ルリめぐ・ファンファーレ』
PART 2
瑠璃乃 | ルリ、夏休み中にすっげーライブをします! |
さやか | えっ!? |
瑠璃乃 | めぐちゃん、蓮ノ空スクールアイドルクラブの大きなステージは、 欠かさず見てるみたいだから! |
瑠璃乃 | だったら、めぐちゃんをその気にさせるために、 まずルリががんばることにしたんだ! |
瑠璃乃 | めぐちゃんの心に火をつけるような、 メラメラのスペシャルサマーライブやっちゃえばいいじゃん! って! |
花帆 | 瑠璃乃ちゃん……。 いいね、それすっごくいいと思う! |
瑠璃乃 | だしょだしょ! |
梢 | そう、ライブ。 いいわね。 |
梢 | ただ、入部早々ライブをやり切るのは、 いくら瑠璃乃さんでも大変よ? |
梢 | 人の心を動かすものなら、なおさら。 |
瑠璃乃 | そこは先輩方に、どーんっと特訓をしてもらって! |
梢 | へえ……どーんと……。 |
花帆 | だめだよ瑠璃乃ちゃん! 気軽に梢センパイにそんなこと言っちゃ! ミイラにされちゃうよ!? |
梢 | 花帆さんのドライフラワーは、さぞかし綺麗でしょうね。 |
花帆 | ひぃ! |
綴理 | はい。 |
さやか | どうしたんですか? 綴理先輩。 おねむですか? |
綴理 | いや、違、ボクなんなの。 じゃなくて、合宿したい。 |
さやか | 合宿……? |
綴理 | 去年、海に行こうかって話があって。 |
花帆 | 海!? |
梢 | そういえば、あったわね。 なんだかんだで立ち消えになっちゃったけれど。 よく覚えていたこと。 |
綴理 | うん。 『きょうは海行くのかな。 どうかな。』って毎日思ってた。 |
梢 | そう……。 |
さやか | サンタさんからのお手紙を待っている子みたいですね……。 |
花帆 | え!? 海! 海行きたいです! ね、瑠璃乃ちゃん、ね、ね! |
瑠璃乃 | うん。 いつも波が荒くて、 ひとっこひとりいないような冬の海とか、最高だよね。 |
花帆 | あたしの思う海と違う!? |
瑠璃乃 | くっ……。 うっ……。 でもでも。 たとえめちゃめちゃ人ばっかりの海水浴場だとしても……合宿は行きたい! |
さやか | えっと、大丈夫ですか? その、普段より一緒に過ごす時間が長くなると思うんですけど、 充電とか……。 |
瑠璃乃 | ぜったいだめだとおもう! |
さやか | え!? |
瑠璃乃 | でも、ぜんぶめぐちゃんをその気にさせるためだから。 だめなりにやりたい! めぐちゃんメラメラファイアーのために……! |
瑠璃乃 | あう……もしかしたら、またご迷惑かけてしまうかもしれませんけど……。 できるかぎり、ミジンコにならないようがんばりますので……。 |
瑠璃乃 | 先輩方、なにとぞーよろしくお願いします! ルリのこと、鍛えてください! |
梢 | ええ、わかったわ。 任せて。 それじゃあ、今年の夏は、みんなで合宿しましょう。 |
花帆 | やったー! うーみー! |
綴理 | ……。 |
さやか | よ、よかったですね、綴理先輩。 1年待っていたかいが、ありましたね……。 |
さやか | ……あれ、合宿ってことはもしかしてわたし、 24時間、綴理先輩のお世話を……? |
瑠璃乃 | 合宿ー! |
花帆 | 海ー! |
さやか | お、お世話ー……。 |
慈 | ……。 |
慈 | ん、私だって……。 練習じゃ、できるのにな……。 |
梢 | 慈。 |
慈 | ……げ。 梢に、綴理も。 |
梢 | いくらなんでも『げ』はないでしょう。 |
梢 | こないだのライブだって、見に来てくれていたのよね。 気になる? 瑠璃乃さんのこと。 |
慈 | ……ぜんぜん。 私はもうスクールアイドルクラブとは関係ないし。 |
慈 | あの子がやることに、いちいち口出す筋合いもないし。 |
綴理 | るり、今度ひとりでライブをするんだよ。 |
慈 | えっ!? 早くない!? さすがにまだ体できてないんだし、もうちょっと基礎練に力を入れたほうが! |
慈 | は。 |
梢 | ふふ。 |
慈 | ま、まあ、私には関係ないけど! |
梢 | 瑠璃乃さんたっての希望なの。 どうしてもライブを見せてあげたい相手がいるんですって。 |
慈 | ……ふぅーーーん。 |
綴理 | ねえ、めぐ。 ボクとこずは、一緒のステージに立ったよ。 |
慈 | そうみたいだね。 |
綴理 | ラブライブ!の全国大会を辞退しようって、 3人で話し合って決めたときに、約束したよね。 |
綴理 | もう、ボクたちはお互いに関わらないようにしようって。 |
綴理 | めぐも、自分のリハビリに付き合わせて、 ボクたちに時間を使わせたくないからって。 |
慈 | うん。 誰もそんなこと言ってないけど。 |
綴理 | え? 言ったよ? |
慈 | くっ…………えぇと |
綴理 | 言ったよね? こず。 めぐは泣きそうなのに笑って。 もう私のリハビリにーー。 |
慈 | ああもう! なんなの!? こいつなんとかしてよ、梢! |
梢 | あなたがいなくなってから、 私がひとりで綴理の相手をしていたのよ。 |
慈 | それはごめんだけど! じゃなくて! 謝る義理とかないし! つまり、ふたりともなにが言いたいわけ!? |
梢 | ええと、つまりね。 |
梢 | あれから1年経って。 3人の約束は、もう、破られてしまったってこと。 |
慈 | んっ……そんなの勝手すぎ。 |
慈 | どっちみち、ムリだよ。 だって、私はまだ。 |
梢 | ねえ慈、いつかみんなで海に合宿に行こうって、話したわよね。 |
慈 | え? いつの話ーー。 |
梢 | それ。 来週、行きましょう。 |
慈 | …………。 はあー!?!? |