第12話『期待はおもい!』
PART 7
梢 | ん……。 |
沙知 | よしっと。 しかし、梢が風邪なんてねえ。 珍しいこともあるもんだ。 |
沙知 | ……竜胆祭に間に合わない、 なんてことはないだろうけど。 |
沙知 | 早く良くなってね。 みんな待ってるんだからさ。 |
沙知 | しっかし……口を揃えて「二年生のためだ」なんて。 愛されてるねえ、ちみぃ。 |
沙知 | 良い子たちを見つけたもんだ。 あたしも中々いい子たちをスカウトしたと思ってたけど…… なかなかやるじゃないか。 |
沙知 | ……楽しみにしてるからね、梢のラブライブ!優勝。 |
梢 | ……沙知、先輩? |
慈 | ん? |
慈 | あ、起きた? |
梢 | 慈。 ……今、何時かしら。 |
慈 | 午後4時ってとこ。 にしても……。 |
綴理 | 誰の夢見てたの? |
梢 | ……沙知先輩、来てなかった? |
綴理 | 知らないけど。 |
慈 | あの人、ほんと猫みたいだから。 気まぐれに来たかもしれないし、私も知らない。 |
梢 | ……そう。 |
慈 | 沙知先輩って言えば、 今一年生たちに色々ちょっかいかけてるみたいだよ。 |
慈 | 試練、とか言って。 沙知先輩が、一年生に色々課題出してる。 |
梢 | ……。 |
慈 | 私は一応、放置派だけど。 梢の意見も聞いておこうと思ってさ。 |
梢 | そう、ね。 私はーー。 |
綴理 | 本当に任せていいの? |
瑠璃乃 | いねーし!! |
花帆 | せっかく出来たてほやほやなのに留守なんて! |
さやか | い、いえそもそも、 ここに住んでいるわけではないと思いますが……。 |
沙知 | おや。 もう来てたのか。 早いねぇ。 |
花帆 | あ、生徒会長! どこ行ってたんですかーもー。 |
沙知 | え、校庭とか、いろいろだけど……ごめん……? |
瑠璃乃 | 仕方ないから許しますけど! |
沙知 | ありがとう……? |
さやか | 謝罪もお礼も要らないと思います……。 |
花帆 | でも、何をしてたんですか? タブレット持って。 |
沙知 | ああ、これかい。 ステージ設営のための資料だよ。 ほら。 |
瑠璃乃 | なにも分からない……。 |
沙知 | あっはっはっは! こういうのは好きでもないと中々ね! |
さやか | ということは、生徒会長は……。 |
沙知 | まあそうだねぃ。 舞台を作る、場所を作る、 誰かが何かをしたいと思った時に、そのためのステージを用意する……。 |
沙知 | ってのが、結構好きかもしんないぜ。 |
花帆&さやか&瑠璃乃 | ……。 |
沙知 | まあ今はスクールアイドルクラブからステージ奪おうとしてるけど。 |
花帆 | 堂々と言った!! |
瑠璃乃 | やっぱり奪うつもりなのかー! |
沙知 | あっはっは! さあ、踊る舞台を返してほしければーーっと、 そうかキミたち、戻ってきたってことは。 |
さやか | はい、第二の試練はクリアした……つもりです。 |
沙知 | ふむ。 じゃあアップロードされてるはずだね。 |
沙知 | あ、座ってていいよ。 お菓子もあるよ。 あとキミ用にダンボールもあるよ。 |
瑠璃乃 | わあい。 |
さやか | いいんですかそれで……。 |
瑠璃乃 | ちょうど疲れてたところだからー。 |
瑠璃乃 | これでよし。 |
花帆 | なんか馴染んできたなー……ダンボールが喋るのも……。 |
沙知 | ふふふ……。 じゃあ動画見るからさ。 ゆっくりしてて。 |
花帆&さやか | はい。 |
花帆 | 好きなんですか、これ。 |
沙知 | まーね、あたしだけじゃなくて、 二年生もみんな好きだよ。 |
沙知 | それもともと綴理が好きだったからあたしも教えてもらったんだけどーー。 |
さやか | えっ。 |
沙知 | ん? |
沙知 | あれ、あたし今なに言ってた? |
さやか | え、あ、お菓子が、綴理先輩の好きなものだと。 |
沙知 | あー……。 |
花帆 | えっと。 |
沙知 | さて、動画を見終わった! 第二の試練の結果を言い渡す! |
さやか | 強引に流しに来ましたね!? |
沙知 | あっはっは! もちろん、試練の内容は宣伝動画を作ること! 作った時点で合格を言い渡そう! 内容も良かったしね! |
さやか | あ、ありがとうございます。 |
沙知 | 花帆は、やっぱりはっきりしてて良いね。 花咲きたい。 ん、良いと思うぜ! |
花帆 | は、はい! |
沙知 | そいで瑠璃乃も、楽しそうだから、か。 一年生として、スクールアイドルをこれから楽しんでいくって はっきり分かってて、これも良い! |
瑠璃乃 | パカッ。 |
瑠璃乃 | ふぃー。 やったぜ! |
さやか | あ、充電できたんですね。 |
瑠璃乃 | 居心地がよい! |
沙知 | うむ、イイダンボールを置いた甲斐があった。 |
花帆 | 良いダンボールってなんだろう。 |
沙知 | で、さやか。 |
さやか | は、はい。 |
沙知 | ーーラブライブ!に出ないスクールアイドルもいっぱいいるぜ? |
さやか | ……えっ? |
沙知 | スクールアイドルは、ラブライブ!だけじゃない。 |
沙知 | もちろん、ラブライブ!が多くのスクールアイドルにとって 大きなものであることは間違いないけど、 出なくちゃいけないわけじゃない。 競技者とは違うのだよ。 |
さやか | ーーっ。 |
花帆 | えっと、それはつまり……。 |
沙知 | さやか。 |
沙知 | なぜ、ラブライブ!にーーいや、違うな。 スクールアイドルをやる理由は、答えられるかい? |
さやか | っ……。 |
沙知 | 花帆と瑠璃乃は合格だ。 正直、第三の試練は必要ない。 |
花帆&瑠璃乃 | えっ。 |
沙知 | さやか、キミに第三の試練を言い渡す! |
沙知 | ーーなんのためにスクールアイドルをやるのか。 その答えを、持っておいで。 |