はぁ、はぁ……あれは……人だかり？

……リベンジしに来ました！！！

……小鈴さん！？

か、徒町はっ……は、蓮ノ空女学院の、スクールアイドルクラブで、
えと。 今からっ……ライブを、します！

伝え方なんて、まだ全然分からない。

徒町ごときが、すぐ正解なんて出せると思ってない。 でも。

どうしても伝えたいことならーー今はあるんです！！
だから見ててください、徒町のライブを！

あぅっ！

小鈴さん！！

ぁう……。 ぐ。 ……失敗なんて、全然平気！
徒町は失敗ばっかりだけど……。

でもーー届いて……徒町の気持ち！！ 行きます！！
曲はDOLLCHESTRAのーーSparkly Spot！！

……。

……。 ……っ。

これ、は……！

間違いなんかじゃないっ……間違い、なんかじゃっ。

ーー決めるのはっっ！！ 自分だ！！！！

っ……！

ああ……そっかーー。

わたしも、おねーちゃんみたいになりたいんだ！

……がんばれ。

がんばれっ、がんばれぇ！！

がんばれっ……がんばれ、小鈴さん！！！

はぁ……はぁ……。 全然、ダメだった……転んだし、
振りも間違えたし、最後もきめられなかった。

……もっかい。 もっかいやってーーあ。

いいえ。
全然ダメなんかじゃ、なかったですよ。

ぁ……さやか、先輩。

ねえ、小鈴さん。
わたしは昔、ほんとうによく転ぶ子だったんです。 小鈴さんよりずっと。

え……？

お姉ちゃんを追いかけて、お姉ちゃんのまねばかりしようとして。

失敗しては笑われて……でも、楽しかった。
よく……こうして起こしてもらいました。

痛みはありませんか？

は、はい。

今のライブは、失敗なんかじゃありませんよ。

で、でも。
ダメだって言われた方のライブより、ずっとへたっぴで。

へたっぴだって、良いんです。
だって……伝わりましたから。 あなたの気持ちが。

ーー間違いなんかじゃ、ないんだって。

ぁ。

はいっ……さやか先輩に憧れることは、それだけは……！

はい……。
がむしゃらに、まっすぐに。 頑張りたい気持ちを伝えてくれた。

それはね、小鈴さん。
あなただけの、応援したくなる魅力なんですよ。

……。

「さやとボク」と、「さやとすず」は違う。
綴理先輩の言葉は……あなたのライブが、意味を教えてくれました。

憧れを追いかけたい……あなたの気持ちは、間違っていないって。

さやか先輩……。

わたしも、気づかされました。

きっとーーあの日お姉ちゃんの背中を追いかけていたことそれだけは、
間違ってなかったんだって。

あなたのライブはきっと、わたしの過去を救ってくれた。

そんな人の心を打つライブをする、“スクールアイドル”が、
間違っているだなんて言えるわけがない。

だからね、小鈴さん。

はい。

わたしはーーあなたの目標であり続けます。
あなたが、追い続けてくれる限り。

ぁ……はい！

ありがとう、小鈴さん。

わたしは、あなたのライブでーー大事なことを思い出しました。

あ……あはは。
あれ、なんか、なんで……。

失敗したはずなのに、できた時みたいに、
胸の底から熱いものがこみ上げてきて……なんかすごく、すごいーー！

今なら、すごいことができそうな気がしませんか？

はい！！

いきましょう。
わたしもーー最高の歌詞が書けそうです。