第6話『対よろ!!!』
PART 5
さやか | ~♪ |
姫芽 | おはよう、ございます~……。 |
さやか | あ、いらしたんですね。 おはようございます、姫芽さん。 ようこそ、朝のキッチンへ。 |
姫芽 | はい~、今日はよろしくお願いします~。 |
さやか | 瑠璃乃さんからお話はうかがっていますよ。 なんでも、好きなことを増やしたいとか。 |
姫芽 | はい~! 頑張ってます~! お弁当作り、楽しみです~! |
さやか | では、張り切ってまいりましょうか。 姫芽さん、料理の経験は? |
姫芽 | 冷蔵庫に余ってるものでチャーハンとか、そんなくらいです~。 |
さやか | キッチンに立つ経験はあるということですね。 |
さやか | では……せっかくですから今日は、 お弁当らしいお弁当を作るところから始めてみましょうか。 |
姫芽 | はい! さやかせんぱい、対戦よろしくお願いします! |
さやか | た、対戦!? |
姫芽 | 卵焼きとウィンナー……! |
さやか | プチトマトを洗って、ブロッコリーは軽く茹でておきます。 |
姫芽 | わー、本当にザ・お弁当って感じですね~! |
姫芽 | 卵焼き、味付けはどんな感じにするんですか~? |
さやか | お出汁の風味にしたり、お醤油で整えたり、諸々ですが…… 姫芽さんはどちらが好みですか? |
姫芽 | アタシは甘い方が好きです~! |
さやか | では甘めにしましょうか。 ボウルにお砂糖を入れていきましょう。 |
姫芽 | はーい。 ちゃかちゃか混ぜていきます~。 |
姫芽 | …………。 |
姫芽 | ……集中切れそうになりませんか!? |
さやか | はやいですね!? |
さやか | ……姫芽さんは、たまにチャーハンを作ると言ってましたけど。 それでほかにも作ってみよう、とはなりませんでしたか? |
姫芽 | そう、ですね……大変だなーって。 |
さやか | ふふっ、わかります。 |
姫芽 | えっ、でも。 |
さやか | わたしも、ひとりで料理をすることそのものは、 そんなにハマらなかったんですよ。 |
さやか | わたしにとってお弁当は、誰かのために作るもので。 |
さやか | 今日のメニューは、きっと小鈴さんが喜ぶんじゃないかな、 なんて思いながら作るんです。 |
姫芽 | 料理とお弁当はまた別なんですね~。 ……誰かに作るお弁当、ですか。 |
さやか | そうです。 綴理先輩と小鈴さんの好きを知ることで、 パフォーマンスにも影響が出ますしね。 |
さやか | 理解度が上がると言いますか。 |
姫芽 | そっか~……料理とお弁当はほとんど同じだと思ってたんですけど…… さやかせんぱいにとっては、誰かへのお弁当作りが……。 |
さやか | 何か、思うところがありましたか? |
姫芽 | はい~。 好きなことを探そうとしてるので、 さやかせんぱいの好きなことをちゃんと把握したいなって~。 |
さやか | ふふっ! 姫芽さんって、意外と真面目なんですね。 では、少し量を増やしましょう。 |
姫芽 | せんぱい? |
さやか | わたしの好きなことをするのなら…… 姫芽さんも、瑠璃乃さんと慈先輩に持っていってあげてください。 |
さやか | あなたの作った、お弁当を。 |
姫芽 | ! |
姫芽 | そっか……めぐちゃんせんぱいと、るりちゃんせんぱいのために……。 |
さやか | 姫芽さん? |
姫芽 | あ、じゃあ! |
さやか | ? |
姫芽 | るりちゃんせんぱいのは、お出汁の卵焼きにしてもいいですか? 前にそれが好きだって聞いたことがあって! |
さやか | はい。 では、そうしましょうか。 |
姫芽 | はい~! あははっ。 |
さやか | 卵ひとつ混ぜるのも、楽しそうになってきましたね。 |
姫芽 | めぐちゃんせんぱいとるりちゃんせんぱいに喜んで欲しいですから~! |
さやか | その意気ですよ、姫芽さん。 ふふふ。 |
姫芽 | あはは。 |
慈 | 姫芽ちゃん、凄いじゃん! こんなしっかりしたお弁当! |
瑠璃乃 | ねー。 隠れた才能……! 卵焼きうまうま。 |
姫芽 | よ、よかった~……。 |
姫芽 | めぐちゃんせんぱいとるりちゃんせんぱいの卵焼き、味違うんですよ~。 |
瑠璃乃 | ほーなの? |
慈 | どれ。 |
瑠璃乃 | ほんとだ、めぐちゃんの甘い! |
慈 | るりちゃんのは出汁巻なんだー。 |
姫芽 | あっ……何も言わずに交換するるりめぐっ……。 |
瑠璃乃 | ひめっち、ルリが好きなのとか分かってたんだー、すげー。 |
姫芽 | えへへ、前にぽろっと言ってたの思い出して~。 |
慈 | でも凄いね、姫芽ちゃん、料理もできるんだ。 |
姫芽 | いえ……それはですね~。 お弁当を好きになっただけですよ~。 |
慈&瑠璃乃 | ? |
姫芽 | めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい。 アタシ、好きなこと増やせた気がします! みんなのおかげで! |
瑠璃乃 | お、おお……。 まあでも、ひめっちが何か掴めたんなら、それに越したことはないしね! |
慈 | どう? 何個くらい行けた? |
姫芽 | はい……! ギターに、釣り。 読書に刺繍、昼寝にチャレンジに筋トレ! |
慈 | 後半怪しいな? |
姫芽 | それに、お弁当作りの楽しさも知ることができました。 ゲームとスクールアイドルを加えて、ちょうど10個です! |
慈&瑠璃乃 | おおー。 |
慈 | ほんとに10個行けたか……気持ちのつもりだったけど。 |
姫芽 | これで、めぐちゃんせんぱいの言う通り…… もう、ゲームの時にスクールアイドルのことを考えたり、 |
姫芽 | その逆をしてしまったりは……ない、と良いなって! |
瑠璃乃 | ん。 じゃあ……どうする? 試してみる? |
姫芽 | ! はい! ぜひお願いします、試させてください! |
慈 | お、ゲームするの? |
姫芽 | 今夜、対戦よろしくお願いします~! |
姫芽 | るりちゃんせんぱい、数秒耐えてもらえれば~。 |
瑠璃乃 | ぐおおお頑張るぞおおお! |
姫芽 | ありがとうございます~、仕留めます~。 ! これで終わり~。 |
姫芽 | ふう……。 |
瑠璃乃 | わー、勝った勝ったやったー! ひめっちやったよー! |
姫芽 | ! そっか、アタシ、久々に……。 |
瑠璃乃 | そうだよー、もっと喜んで良いってー! |
姫芽 | そっか。 ……そっか! やー、嬉しい……嬉しいです~! |
瑠璃乃 | なんかさ、ひめっち。 今日は余裕があったね、周り見えてたね。 |
姫芽 | それは……はい~。 修行の成果かもしれません。 今はちょっと安定している気がします~。 |
瑠璃乃 | そうだねえ。 ゲームで出来たんだから、スクールアイドルでも大丈夫だよ! |
姫芽 | ! そうですね~! やった~! やった! わーいわーい! |
瑠璃乃 | いえーい! |
姫芽 | これなら、アタシ……やれる! |