第11話『夢を咲かせる物語』
PART 6
花帆 | せっちゃんの夢……。 あたしたちの、夢……。 夢を、信じる、こと……。 |
花帆 | これが、どりーむびりーばーず……! |
梢 | ええ、花帆さん。 |
梢 | かつてこの蓮ノ空女学院が、ラブライブ!を優勝した伝統の曲よ。 蓮ノ空でいちばん有名な曲なの。 |
花帆 | すごいすごい! とっても素敵な曲ですね! |
梢 | ふふふ。 でしょう? |
花帆 | あたし、特にこの、『Dream Believers You believe!』ってところが、 特に、好きです! |
梢 | あら、どうして? |
花帆 | だってこれ『夢を信じる人を信じてる』って意味ですよね? だったらきっと、誰かを花咲かせるってことと、同じですもん! |
梢 | 確かに……。 言われてみれば、そうかもしれないわね。 |
花帆 | もしかして……あたしのための歌かもしれません! |
梢 | それは少し、言い過ぎかもしれないわね。 |
綴理 | やほー。 |
さやか | あら、なんの話をしていたんですか? |
花帆 | あ、聞いて聞いて綴理センパイ、さやかちゃん! 今、どりーむびりーばーずって曲を教えてもらってねーー。 |
花帆 | Dream Believers You Believe。 夢を信じる人を、信じてる……。 |
花帆 | いつだって、あたしを勇気づけて、励ましてくれた歌……。 |
花帆 | だけど……でも……。 |
花帆 | だったら……もう、夢を諦めちゃった人は、どうすれば……。 |
花帆 | もう、夢を叶えられない人に、あたしは……。 |
花帆 | あたしは……。 |
セラス | ……わたしもね、来年こそぜったいに、スクールアイドルになるんだ。 瑞河の、みんなの夢を叶える、スクールアイドルに。 |
花帆 | ……違う。 |
花帆 | 叶わなくたって、どんなに遠くたって……。 それでも諦められないから、夢なんだ。 |
花帆 | そうだ、せっちゃんも、同じなんだ。 みんなと。 |
花帆 | あたしの、大切な人たちと……! |
さやか | わたしは……何を間違えたんですか……? |
花帆 | 立ち止まったって。 |
綴理 | ボクは、ボクがおかしいんだって、 ボク自身に言い聞かせるのが、痛いよ……。 |
花帆 | どうしようもなくたって。 |
瑠璃乃 | る、ルリは……。 誰かに迷惑をかけるほうが、嫌、かな……。 |
花帆 | 勇気が出なくても。 |
慈 | だって! |
慈 | だって……。 ずっと悔しいんだ……。 |
花帆 | それでも! |
吟子&小鈴&姫芽 | 蓮ノ小三角! |
花帆 | えー!? |
花帆 | 前に進もうって! もがいて、もがいて! |
梢 | 一緒に、夢を信じてくれる……? |
花帆 | あたしは、そんな人たちの。 |
花帆 | あたし、決めた。 あたしーーもう、逃げないから! |
花帆 | 背中を押したいって、思うから! |
花帆 | やるんだ! |
花帆 | せっちゃん! |
セラス | ……花ちゃん。 |
花帆 | やってみようよ、せっちゃん。 最後まで! |
セラス | ……たとえ、奇跡が起きても、叶わないよ。 |
花帆 | 奇跡なんかじゃないよ! |
花帆 | 諦めたくないだけ。 今この瞬間は、今しかないんだから。 |
花帆 | わかったんだよ、あたし。 本当にやりたかったこと……わかったんだ! |
セラス | ……それは、ラブライブ!優勝じゃ。 |
花帆 | そうだけど! でも、そうじゃなくて! |
花帆 | あたしは、みんなを花咲かせるって、決めたんだ。 |
花帆 | あたしがスクールアイドルになったのは、みんなを花咲かせたいから! それが、あたしの夢だから! |
花帆 | せっちゃんが泣いたままなんて、そんなの、やだ! |
セラス | ……眩しいね、花ちゃんは。 |
花帆 | もうちょっとだけ、もがいてみようよ。 ねえ、一緒に。 |
花帆 | 大丈夫だよ。 ぜったい、どうにかなるよ。 |
花帆 | だって、スクールアイドルは、そのためにいるんだから! |
花帆 | 夢を見るのが、スクールアイドルなんだから! |
セラス | ……ありがとう、花ちゃん。 |
花帆 | というわけで……帰ってきました! 蓮ノ空に! |
小鈴 | 久しぶりの我が家のような気がしてとても落ち着きます! |
吟子 | というか、なんで泉さんまで、ここに。 |
姫芽 | なんか馴染んでるし~。 |
泉 | もちろん力を貸すに決まっているよ。 セラスの夢のために、協力してくれるんだろう? |
さやか | そうですね。 そういうことに、なりました。 |
花帆 | うっ、プレーオフ前に時間がないのに、すみません……。 |
瑠璃乃 | 時間がないからこそ、急がなくっちゃでしょ! |
慈 | 花帆ちゃんの暴走は、いつものことだしねえ。 |
さやか | もちろん、一言ぐらいは言ってほしかったですけど。 |
花帆 | ご、ごめん。 |
さやか | いいんですよ。 花帆さんなので。 |
綴理 | 甘やかしだ。 |
さやか | そうです甘やかしです。 |
花帆 | えへへ……。 |
花帆 | それでね、あたしも考えてみたんだ! |
花帆 | ラブライブ!は高校生の大会だけど……、 でも、みんなが応援してくれるんだったら、 もしかしたら、せっちゃんが出ることだって! |
花帆 | みんなに話して、お願いしてみるんです。 せっちゃんをラブライブ!に出させてください、って! |
花帆 | すべてのスクールアイドルと、そしてスクールアイドルが好きなみんなに! |
慈 | なんか壮大な話になってきたねえ! |
綴理 | スクールアイドルを好きなみんな……。 じゃあ、全人類ってことだ。 |
梢 | それは……違うかもしれないわね……。 |
花帆 | キチンとお話してみたら、きっと大丈夫ですよ! |
さやか | でもそれって……皆さんを説得するってことですよね……? 瑞蓮祭を開くよりも、はるかに大変ですよ……。 |
小鈴 | 説得すれば、できるんですか? |
梢 | ……。 |
慈 | まあ、ムリだよ。 基本的には、絶対。 そもそもルールはルールだし。 |
泉 | なかなか手厳しいね。 |
慈 | 客観的な意見も必要でしょ。 |
小鈴 | そんなぁ……。 |
綴理 | こず、どうかな? |
梢 | ……常識的に考えれば、実現不可能であることは慈の言うとおり。 |
梢 | それでも可能性があるとすれば。 |
梢 | セラスさんを出場させることがスクールアイドルの総意と見なされれば、 かしらね。 |
梢 | 本当に、大雨の夜に、ひとつの星を見つけるような話だけれど……。 |
梢 | ……でも、もし本当にスクールアイドルのみんなが後押しをしてくれるのなら、ラブライブ!はきっと応えてくれるわ。 |
花帆 | だったらうまくいきますよ! |
花帆 | あたしの大好きなスクールアイドルと、 それを応援してくれるみんななら、必ず! |
花帆 | だって、あの輝くステージは、光のおとぎ話なんですよ! おとぎ話なら、ハッピーエンドで終わらなくっちゃ! |
綴理 | うん、やろう。 |
姫芽 | ですね~! やりましょう~! |
吟子 | でも、どうするの? みんなの総意を集める、って……。 今度は日本全国を回るつもり……? |
花帆 | それもやるけどね! |
吟子 | やるんだ……。 |
花帆 | ふっふっふ。 |
花帆 | 言ってくれましたよね、梢センパイが。 花帆は、配信が得意だ、って。 |
梢 | え、ええ。 それはもちろん、今でもそう思っているけれど……。 |
さやか | まさか。 |
花帆 | そのまさか! だよ! 配信で、世界中の人に、呼びかけるんだよ! |
慈 | 梢の言葉を信じすぎない方がいいよ、花帆ちゃん! 梢は、花帆ちゃんのやることならなんでも褒めるんだから! |
梢 | そんなことないわよ! |
さやか | せ、せめて台本などを、作った方が……。 |
泉 | 決められた言葉を喋るより、内側から湧き出た想いのほうが、 より多くの人の心を動かせると思うけれどね。 |
瑠璃乃 | でもぜったいに失敗できないやつじゃん! |
綴理 | 失敗すると思う? |
綴理 | こういうときのかほは、無敵だよ。 |
吟子 | ……花帆先輩、信じて、いいんですね? |
花帆 | あたしに、任せて。 |
花帆 | なんたって……花帆は配信が得意、なんですから!! |