第11話『みんなで、花咲きたい!』
PART 7
- コメント
シーン想定。花帆が目をつぶった後は、様々な背景が映り出されます。
- 花帆
……。
- 花帆
……静かだなあ。
- 花帆
なにもなくて……まるで、初めて蓮ノ空に来たときみたい。
- 花帆
でも、今は寂しくない。
やらなきゃいけないことがあるから……それだけ? - 花帆
ううん。 なんにもなくても……あたしの中にはちゃんと、
キラキラとしたものが、あるからだ。 - 花帆
これがきっと、花咲くの結晶なんだ。
でも……じゃあこれは、いったいなんだろう……? - 花帆
スクールアイドルが好きな気持ち?
歌ったり、踊ったり……ライブでたくさんの人が笑顔になって……。 - 花帆
すごく、楽しかった。
- 花帆
でも、衣装を作ったり、みんなと練習してるときも、楽しいって思う。
- 花帆
それじゃあ、学校の思い出……?
寝る前に集まって、ラウンジでお喋りしたり……。 - コメント
花帆の部屋が映る。
- 花帆
勉強……は、あんまり好きじゃないけど。
でも、友達と一緒にテスト勉強してるときは、楽しい、かな。 - 花帆
修学旅行も、楽しかった。
- 花帆
金沢の街に遊びに行くのも、好き。
クレープ食べたり、カラオケに行ったり……。 - 花帆
梢センパイのおうち、大きかったなあ。
- 花帆
吟子ちゃんのおうちも広々として、おばあちゃんも優しくて……。
- 花帆
……この3年間、楽しかった。
ずっとずっと、楽しかった。 - 花帆
どうしよう……。 花咲くの答えを見つけるって、
そう言ったけど……でも、どれかひとつは、決めらんないよ……。 - 花帆
だって、あたしの3年間は、ただの3年間じゃない。
- 花帆
花咲きたいって想いを込めて……
そうして、夢中で駆けてきた、3年間だから……。 - コメント
25年3月更新分、卯辰山で次の夢への決意を語るシーンが映る。
- コメント
序章3話。大倉庫で梢に初めて『花帆さん』と呼ばれたシーンが映る。
- 花帆
そっか……そっか。
花咲くって……ぜんぶひっくるめたこの気持ちが、花咲くなら……! - 花帆
中学で花咲けなかったあたしが、高校では花咲くことができた。
それは、スクールアイドルクラブに入ったから! - 花帆
3年間、夢を追って、夢中で駆け抜けてきたから!
- 花帆
花咲くって、『夢中になること』なんだ!
- 花帆
見つけた……!
あたしの3年間の、その答え! - 花帆
これが、『花咲く』なんだ!!
- 花帆
あ、えっと、お母さん。
ごめんね、ライブ前にちょっと、声が聞きたくって。 - 花帆母
あら、珍しいわね、花帆ちゃん。
- 花帆
うん。 あのね……。
- 花帆
日野下 花帆。 あたしの名前。
- 花帆
あたしね、好きだよ。
お母さんがつけてくれた、この名前。 - 花帆
この『花帆』って名前があったから、きっと、
こんなに真剣に向き合うことができたんだ。 『花咲く』って言葉に。 - 花帆
いつでも、どこにいっても、あたしは花帆。
この胸のお花と一緒に、3年間を、夢中で駆け抜けてきたから。 - 花帆
そのおかげで……あたしは、ようやく答えを見つけることができたんだよ。
だから、ありがとうね。 - 花帆母
あらあら……。
- 花帆母
ふふっ。
私も好きよ、花帆の名前。 - 花帆
うん……。
- 花帆母
……ずいぶん素直になったわね、花帆。
蓮ノ空に入ったばかりの頃は、あんなにツンツンしてたのに。 - 花帆
そ、それは……!
花帆はもう忘れました! - 花帆母
こんな山奥だなんて、聞いてなかったー、って。
- 花帆
だってあれはお母さんが!
- 花帆母
やっぱり覚えてるじゃない。
- 花帆
むむむ……!
- 花帆母
でも、嬉しいのよ、お母さんは。
- 花帆母
花帆が蓮ノ空で自分の道を見つけて、毎日楽しそうにしてて。
素敵な出会いが、あったのね。 - 花帆
……うん。
あったよ。 いっぱい、いっぱいあった。 - 花帆
あたしはここで、花咲けたんだもん!
- 花帆母
ライブ、がんばってね。
- 花帆
うん!
ありがとう、お母さん! - 吟子
花帆先輩、お時間ですよ。
- 花帆
はーい!
- 花帆
それじゃああたし……めいっぱい、花咲いてくるね!
- 吟子
……ん。
- 吟子
いってらっしゃい、花帆先輩。
- 花帆
みんなー! フラワー!
- 花帆
きょうは、来てくれてありがとね!
配信で見てくれてる人も、ありがとー! - 花帆
きょうのソロライブは、スクールアイドル日野下 花帆の、集大成!
みんなに聞いてもらいたくて、新しい歌を作ってきたんだ! - 花帆
作ろうと決めたのは、ついこないだで……
時間がぜんぜん足りなくて、大変だったけど……。 - 花帆
でも、ちゃんと、完成したよ。
- 花帆
あたしのこれまでをめいっぱい詰め込んだ曲。
そして、『花咲く』という言葉の答えを歌う曲! - 花帆
あたしのぜんぶを乗せて!
叫ぶから! - 花帆
聞いてね!
- 花帆
今、過去、未来の三原色!
- さやか
がんばってください、花帆さん……!
- 小鈴
花帆先輩~~~! ちぇすと~~~!
- 瑠璃乃
見て見て、姫芽。
ライブ配信の視聴者数が、すごいことになってる! - 姫芽
わぁ~。
これみんな、かほせんぱいを見に来てるんですねえ~……! - セラス
泉、これなら……!
- 泉
きっとたくさんの人が、勇気をもらえるだろうね。
さすが花帆先輩だ。 - 広実
花帆サン……アンタやっぱり……最高だぜ……!!
- びわこ
花帆ちゃん……!
- えな
……来てよかったね、びわこ。
- しいな
『夢中になること』。 それが、花咲くことだったんだ……。
- びわこ
……うんっ!
- 花帆
みんなも一緒に、花咲こうね~~!
- 吟子
花帆先輩。
- 花帆
あ、吟子ちゃん。
どうだった? あたしのライブ。 - 吟子
それは……とても、すごかったです。
本当に、素敵でした。 これまでの、どんなライブにも負けないぐらい。 - 花帆
えへへ、うれしい。
- 吟子
私たちのところにも、広実さんのところにも、
たくさんのコメントが届いていますよ。 - 吟子
花帆先輩を見習って、またこれからもがんばってみる、というコメントが。
- 花帆
……そっかぁ。
- 花帆
あたし、やるだけのことはやった、よね。
- 吟子
はい。
- 花帆
……あのね。
あたし、泉ちゃんに言われたこと、考えてたんだ。 - 吟子
……それは?
- 花帆
誰かのためにという想いはウソじゃない。
だけど、あたしの最初の願いは自分のためだ、って話。 - 花帆
あたしね、病院で入院してたとき、ずっと、つまんなかったんだ。
- 花帆
せっちゃんとか、看護師さんが遊んでくれたときは、楽しかった。
本を読んでるときも、夢中になれた。 - 花帆
だけど、なにかをやりたいと思っても、なにもできなくてさ。
- 吟子
……。
- 花帆
なんかね、思い出しちゃうんだ。 あの頃のこと。
夢が叶わない人。 夢に届かない人。 夢を諦めてる人。 - 花帆
そんな人を見てると……あの頃の、あたしのことを。
- 花帆
泉ちゃんに言われて、改めて気づいたんだ。
- 花帆
人の夢を叶えたいって、花咲かせたいって言ってるけど、
でもそれってぜんぶあたしのため。 - 花帆
先月、瑠璃乃ちゃんとね、ちょっと話したの。
慈センパイが帰った後。 - 花帆
瑠璃乃ちゃんがあんなに素敵な曲を作れたのは、
自分探しをしてきたからなんだ、って。 - 花帆
瑠璃乃ちゃんも、弱かった頃の自分に手を差し伸べて……。
昔の自分を救うことができた。 - 花帆
そこまではあたしと似てるかもだけど……
でも、瑠璃乃ちゃんはもともと優しくて、優しいからこそ傷ついて……
だから、強さをほしがってた。 - 花帆
あたしとは、違うんだ。
- 花帆
あたしがやってるのは、自分のためだから……。
- 花帆
『トリプル・フラワー・大作戦』でも……
花咲くの答えを詰め込んだこのライブでも、想いが届かなかったら……。 - 花帆
もしかしたら、そんな気持ちが見透かされちゃってるのかな、なんて。
- 花帆
あたしが『みんなのために』って言いながら、そうじゃなかったこと。
- 花帆
だから……。
- 吟子
花帆先輩。
- 吟子
ぶってもいいですか?
- 花帆
なんで!?
- 吟子
いいですか、一度しか言いませんからね。
- 吟子
あなたが『自分のために』と思いながらやったことは、
ぜんぶ誰かのためですよ。 - 吟子
人の痛みに敏感で、誰かが落ち込んでると自分のことのように思って、
手を差し伸べずにはいられない。 - 吟子
なのにそれもぜんぶ自分のために、なんて、さすがにちょっと欲張りすぎです。
- 吟子
もしあなたがこれから先、誰かを救おうと思ったとき、
そんな考えが頭によぎることがあったら、思い出してください。 - 吟子
私は、花帆先輩に救われました。
あなたと過ごす2年間で変わって、救われたんです。 - 吟子
この気持ちは、花帆先輩にだって、ぜったいあげない。
私の大事な、大事な花束ですから。 - 花帆
……吟子ちゃん。
- 吟子
以上。
日野下 花帆の後輩。 百生 吟子より。 - 花帆
うん……。
ありがとう、吟子ちゃん。 - 花帆
きれいだね、吟子ちゃんのお花は。
- 吟子
……まあ。
- 吟子
それを咲かせた花卉農家の方の、腕が良かったんじゃないですか。