第11話『みんなで、花咲きたい!』
PART 9
- さやか
……。
そう、だったんですね。 - 瑠璃乃
つらかったね、花帆ちゃん。
- 花帆
ううん……。
- 花帆
せっかくふたりが……みんなが、あたしのこと信じてくれたのに……。
- さやか
だからって、逃げなくても……。
- 花帆
あたし、もう来月には、蓮ノ空を卒業しちゃうのに……。
- 花帆
ふたりに寄りかかってばっかりじゃ、だめだよ……。
- 瑠璃乃
いいじゃん、親友なんだから。
- さやか
そうですよ。 来月には離れ離れになってしまうからこそ、
近くにいる今は、寄りかかってください。 - 瑠璃乃
それとも高校卒業したら、ルリたちは他人同士になっちゃうの?
- 花帆
やーだぁー……。
- さやか
ずっと一緒にいられないからこそ……ですよ。
- 花帆
あったかい……。
- さやか
体を動かしましたからね。
- 花帆
うう……。
- 花帆
あたし、卒業したくないよぉ…………。
- さやか
花帆さん……。
- 瑠璃乃
……そうだね、ルリも、気持ちわかるよ。
- 瑠璃乃
未来がどんなに明るくても……別れの痛みは、去年さんざん味わったもんね。
- さやか
……でもわたしは、花帆さんのその言葉が聞けて、嬉しいですよ。
離れがたいと、思ってくださっているんですよね。 - 花帆
うん……。
- 花帆
ずっと一緒にいたい。
蓮ノ空でみんなと、ずっと……。 - 花帆
ぜんぶが、ぜんぶ……あたしの、大切な思い出の場所だから……。
- さやか
いろんなことが、ありましたね。
- 花帆
ごめん、さやかちゃん。
涙ついちゃったかも……。 - さやか
どうってことありませんよ。
- 花帆
……ちょっと、落ち着いた。
ありがとね。 - 花帆
あたしたちが戻ってくる場所を作るためにも、
Bloom Garden Partyをがんばらなきゃ、だよね。 - 花帆
へこたれず、また次の手を考えなきゃ……。
- 花帆
あたしが、始めたことなんだから……。
- 瑠璃乃
……。
ねえ、花帆ちゃん。 - 瑠璃乃
ルリはこないだの自分探しで、強さだけじゃない。
弱さだって大事なことに、気づいてさ。 - 瑠璃乃
さっき話を聞いて……。 もしかしたらそのことで、
花帆ちゃんにきっかけをあげられるかもしれないって、思ったんだ。 - 花帆
え……?
- 瑠璃乃
ルリにとっての強さは、花帆ちゃんにとっての、今。
3年間を詰め込んだ、咲き誇るようなあのライブだった。 - 瑠璃乃
だったら、ルリにとっての弱さ。 忘れちゃいけなかったことが、
花帆ちゃんにも、あるんじゃないかな、って。 - 瑠璃乃
もうひとつ、大事なものが。
- 瑠璃乃
よかったら……会わせたい子がいるんだ。
ちょっと、いいかな? - 花帆
瑠璃乃ちゃんが、ここで待っててって言ってたけど……。
- 花帆
……会わせたい人って、誰のことだろう。
- 花帆
……びわこちゃん?
- びわこ
あ……こんばんは、花帆ちゃん。
- 花帆
会わせたい人って、びわこちゃんのこと……?
- びわこ
たぶん……瑠璃乃ちゃんは、わたしに勇気をくれたんだと、思う。
- 花帆
……?
- びわこ
……。
あ、あのね、花帆ちゃん。 - 花帆
うん。
- びわこ
あのね……。
- びわこ
私ね、志望校、落ちちゃったんだ。
- 花帆
え……?
- びわこ
えなちゃんとしいなちゃんと同じ大学に行って、
また3人で合唱部に入りたいねって話してたのに……。 私だけ、落ちちゃって。 - びわこ
それでね、ずっと、ふさぎ込んでたの……。
- びわこ
Bloom Garden Partyが私たち合唱部最後のイベントになるんだって思ったら、
近づいてくるのが、毎日こわくなってきて……。 - びわこ
瑠璃乃ちゃんにも、相談に乗ってもらったりしてたんだけど……。
- 花帆
……そう、だったんだ。
- びわこ
でも。
- びわこ
こないだの花帆ちゃんのライブ、とっても、素敵だった。
- びわこ
ねえ、覚えてる? 花帆ちゃんが入学して、すぐのこと!
花帆ちゃんって、最初は学校を辞めようとしてたでしょ? - 花帆
う、うん。
あったね、そんなことも! - びわこ
私たちも蓮ノ空の環境にびっくりしちゃってて、だから、
花帆ちゃんが転校しちゃうのも仕方ないのかなって思って。 - びわこ
だけど、花帆ちゃんが言ってくれたんだよね。
- びわこ
みんなで、花咲こう、って。
- びわこ
そのおかげで、私も合唱部に入ろうって決めて……。
私の3年間も、花咲いたんだよ。 - びわこ
だからね、きっと……別々の大学に進んでも、どうにかなるんだって思えたの。
- びわこ
新しくサークルを作ってもいい。
きっと花帆ちゃんなら、そうするだろうから、って。 - びわこ
ずっとずっと、お礼を言いたかったんだ。
ありがとう、花帆ちゃん。 - コメント
花帆の目に、うっすら涙が浮かぶ。
- 花帆
びわこちゃん……。
- 花帆
でも、あたし……!
- 花帆
あたしは、みんなの、『みんな』のことを、花咲かせたいと思ってた!
- 花帆
どんなに難しくても、
それが世界平和を願うようなことだって言われても、でも! - 花帆
本気で! そうなればいいって!
今でも本気で、思ってる! - 花帆
なのに、あたしの『花咲く』は、違ったの!
- 花帆
だったらもうあたし……誰も花咲かせることなんて、できないよ!
だって、違ったんだもん! - 花帆
あたしの歌は、届かなかったんだから……!
- びわこ
……。
私は。 - びわこ
私が花咲けたのは、花帆ちゃんのおかげだよ。
- 花帆
そんなことない!
- 花帆
だって! だって……!
- 花帆
びわこちゃんが花咲けたのは、びわこちゃんが花咲ける子だったから……っ!
- 花帆
びわこちゃんだって……梢センパイだって、吟子ちゃんだって……
さやかちゃんも、瑠璃乃ちゃんも、みんなも……
きっと、あたしがいなくっても……。 - びわこ
でも!
- びわこ
私は、花帆ちゃんのライブが、本当に素敵だと思った!
- びわこ
あのライブで『夢中になること』が花咲くの答えだって聞いて、
救われた気持ちになれたの! - びわこ
私の3年間は、花帆ちゃんみたいになにかを成し遂げたわけじゃなかったけど!
でも、間違ってなかったんだ、って! - びわこ
これでよかったんだ、って!!
- びわこ
その気持ちまで、否定しないでよ、花帆ちゃん!!
- 花帆
……っ!
- 花帆
どうして……。
- 花帆
だって、あたしの答えは……届かなかったのに……。
- びわこ
もうずいぶん懐かしいけど……この学校に入って諦めてたのは、
私も同じだった。 - びわこ
それでも、がんばろうって、花咲こうって花帆ちゃんが言ってくれたから。
私が一歩を踏み出せたのは、あのときの花帆ちゃんがいてくれたおかげだから。 - びわこ
花咲くために踏み出す勇気をくれたのは、花帆ちゃんだから……!
- 花帆
勇気を……。
- コメント
回想、序章一話から
- 花帆
あたしが花咲いて……ううん、あたしだけじゃなくて!
みんなで花開くの! そしたらもっと楽しくなるよ! - 花帆
あたし、この学校を、みんなの笑顔で満開にしてみせる!
だからーー。 - 花帆
あたしに任せて!
ぜったいに楽しませてみせるから! - 花帆
その、一歩を……!
- 花帆
ああ、そっか……。
- 花帆
そうだったんだ……。 あたしの『花咲く』は……
その答えは、間違ってたんじゃない……。 - 花帆
ただ、足りないだけだったんだ……。
- コメント
序章6話、さやかがスケートリンクで『夕霧綴理!』と叫ぶシーン。
- コメント
幼少期の瑠璃乃が、幼少期の慈に声を掛けられるシーン。
- コメント
吟子が『私の先輩』と言って、花帆に抱き着くシーン。
- コメント
小鈴がさやかに初めてのバッジをもらうシーン。
- コメント
姫芽がみらくらぱーく!の配信を初めて見て、床を転げまわるシーン。
- コメント
雨の中、セラスの手を泉が取るシーン。
- コメント
そして102期活動記録より、梢と綴理、慈が初めてスクールアイドルクラブに来て顔を合わせたシーン。
- 花帆
夢中になること……。
それだけじゃ、だめだったんだ……。 - 花帆
その前にみんな、一歩を踏み出して、新しい世界に飛び込んで……
そして、夢中になっていくんだ……! - 花帆
どうしてあたしの歌が、びわこちゃんには届いたのか。
他の子には、届かなかったのか……。 - 花帆
それは……最初の出発点……!
- 花帆
憧れてもらうその背中を見せるだけじゃなくて!
- 花帆
きれいに花咲いた姿を、強さを誇るだけじゃなくて!
- 花帆
あたしは、一歩を踏み出すその勇気も、歌わなきゃいけなかったんだ!
- 花帆
びわこちゃん! あたし、わかった!
これまでのことは、無駄じゃなかったって! - 花帆
そして、『花咲く』の、本当の答え!
あたしのーーやるべきこと! - 花帆
まだあったんだ!
- びわこ
花帆ちゃん。
- びわこ
私、花帆ちゃんと出会えて、本当によかった。
花帆ちゃんのこと、大好きだから! - 花帆
あたしも、びわこちゃんのこと、大好き!
- 花帆
Bloom Garden Partyの合唱部のステージ、楽しみにしてるね!
- びわこ
うんっ!
- びわこ
がんばって、花帆ちゃん!