第12話『ずっと花咲く僕らの桜』
PART 3
- 小鈴
やーったやった、やったったー!
- さやか
こらこら小鈴さん、あんまり先に行きすぎないでくださいね。
- 小鈴
もちろんです!
こんなせっかくの機会に、わざわざ自分から離れていったりしません! - 綴理
そうだね。 久しぶりにこうして、お仕事とはいえ……一緒にいられる。
ボクも自分から離れたりはしないかな。 - さやか
あ、ある程度は離れるんですよ!?
これから手分けして、お店にイベントのポスターを配って歩くんですから! - 綴理
これは、Bloom Garden Partyのポスターだね。 よくできてる。
- さやか
ありがとうございます。
- さやか
もう開催も間近ですし、いろんなお店に貼ってもらって、
雰囲気を盛り上げていこうという施策ですね。 - 綴理
さや、すず。
- さやか
はい?
- 小鈴
なんですか?
- 綴理
ふたりとは電話やビデオ通話で連絡を取り合ってたけど……
やっぱり、変わったと思うよ。 - 綴理
すずは高く、大きくなった。
さやは……そうだな、こういう言い方が正しいのかわからないけど。 - 綴理
すごく、きれいになったね。
- さやか
なっ……。
- 小鈴
それは徒町もそう思います!
- さやか
……綴理先輩は、どうやら口がお上手になったみたいですね……。
- 綴理
蓮ノ三連華。
- 綴理
嬉しく思うよ。 さやが、自分だけの道を見つけたことを。
本当に、いい名前だなって思う。 - さやか
それに関しては……はい。
正直、蓮ノ大三角に憧れていた気持ちも、ありました。 - さやか
ですが、わたしたちはわたしたちです。
星ではなく、誰かのそばで咲く花になろうと、3人で決めたんです。 - 綴理
きみのきらめきは、朝露に濡れて輝く花だったんだね。
- 綴理
何度踏まれても、咲き続ける。
その強さに出会えて、よかった。 - さやか
あ、あの……。
ありがとう、ございます……。 - 綴理
それと、蓮ノ小四辺形。
- 小鈴
はい!
- 綴理
新たな星に出会って形を変えたきみは、去年よりはるかに力強く、
自分の意思で輝いてる。 いい出会いが、あったんだね。 - 小鈴
それは、もう……お電話では伝えきれないほど、
すっごくいろんなことがありましたから! - 小鈴
実は……蓮ノ小四辺形っていうのはどうかなって言い出したのは、
徒町だったんです。 - 綴理
へえ。
- さやか
そうだったんですか?
- 小鈴
はい。 姫芽ちゃんにも話を聞いてもらって!
- 小鈴
吟子ちゃんには、ちょっと相談するタイミングがなかったんですけど……
でも、ぜったいに賛成してくれるってわかってましたから! - 小鈴
徒町はこの一年で、
誰かと繋がることってすごいことなんだな、って思ったんです。 - 小鈴
だから泉ちゃんとも繋がれたら、
もっともっとすごいことができるんじゃないかな、って! - 小鈴
前は徒町が足を引っ張ったりするんじゃないか、とか……。
- 小鈴
そういうことが頭をよぎって、
あんまり自分からは言い出せなかったんですけど。 - 小鈴
でも、先に泉ちゃんが心を開いてくれたから。
徒町もその想いに、応えたいって思って! - 綴理
……ずっと見ていた、と思ってたんだけど。
やっぱり、顔を合わせないとわからないことも、あるんだね。 - 小鈴
えへへ。
- 綴理
聞かせてくれる?
ふたりの、この一年の軌跡を。 - さやか
それは、もちろん。
作業をしながらでよければ、いくらでも。 - 小鈴
徒町も、いっぱい聞いてほしいです!
あ、でも、綴理先輩のことも聞かせてほしいです! - 綴理
そうだね、なにから話そうか。
- 綴理
あ、ふたりに言ってないことがあったんだ。
- さやか
おお。
- 小鈴
なんですか?
- 綴理
ボク、バイトを始めたんだよ。
- さやか&小鈴
!?!?!?
- 綴理
んー……! これこれ。
ほっくりして、喉を通り過ぎる熱が。 - さやか
やけどじゃないでしょうね!?
- 綴理
そこまで子供じゃない。 大丈夫。
- さやか
そうですね……なんたって、アルバイトまで始めたんですもんね……。
- 小鈴
徒町もさすがに驚きました……。
ひとり暮らしをがんばっていらっしゃるとは、聞いておりましたが……! - 綴理
といっても、最初はお手伝いだったんだよ。
- 綴理
近くにおでん屋さんを見つけてね。
ずっと通ってたんだけど……ある日、お店がすごく混んでた日があって。 - さやか
まさか、お手伝いしたんですか?
- 綴理
おお、よくわかったね。
さすがさや。 - さやか
なんとなく……そのままお店の人にお願いされて、
働き始めるところまで、今想像できました。 - 小鈴
綴理先輩らしいエピソードです!
- 綴理
そうしたら、週に何度かお手伝いに来てほしいってお願いされて。
楽しいよ。 いつもおでんの匂いに囲まれてて。 ごはんの心配もなくなった。 - さやか
……ある日から、綴理先輩がひとりで簡単に作れる自炊メニューを
わたしに聞いてこなくなったのは、そういうことだったんですね。 - 綴理
ぎく。
- 綴理
さ、最初はがんばろうと思ったんだけど。
- さやか
いえ、いいと思います。
大学生活で初めてのひとり暮らしは、なにかと大変でしょうし。 - さやか
ただ、わたしは栄養が偏らないかだけ心配ですが……。
- れいかさん
大丈夫よ。
おでんは完全栄養食だもの。 - さやか
とはいえ、練り物が中心の食生活では、
ビタミンや食物繊維が不足しがちに……って。 - 小鈴
れいかさん!?
- れいかさん
なんとか間に合ったわよ!!
Bloom Garden Partyに!! - 小鈴
わあ! お久しぶりです!!
- れいかさん
ええ、お久しぶりね、みんな!
104期DOLLCHESTRA勢揃いね。 - 小鈴
はい!
勢揃い、です! - 綴理
どこか行ってたの?
- さやか
あ、そっか。 綴理先輩は知らないんでした。
世界一周に行ってらしたんですよ。 - 綴理
おおー。
ボクの知らないところでも、いつも地球は回ってるね。 - れいかさん
ふふ。
あなたたちは変わらないわね。 - れいかさん
今日はゆっくりしていってね!
いろいろおまけするわよ! - 綴理
わあい。
- さやか
ありがとうございます、れいかさん。
- 小鈴
Bloom Garden Partyもぜひ来てくださいね!
こちら、ポスターです! - れいかさん
ありがと!
楽しみだわ! - 小鈴
れいかさんも帰ってきて、さらに一年前って感じです!
- 綴理
ボクは大学、れいかさんは世界一周。 さやは蓮ノ三連華で、
すずは蓮ノ小四辺形。 今年はいろいろあったんだねえ。 - さやか
ずっと毎年、こんな感じだったじゃないですか。
- 綴理
それは、間違いないね。
- 綴理
一年生のときも、二年生のときも、三年生のときも……
そして今年も、たくさんいろんなことがあった。 - 綴理
ボクは鳥籠を出て、世界の広さを知った。
でも、ひとつ学んだことがあった。 - 綴理
大学も、おでん屋もね、きっとそれぞれの鳥籠があるだけだったんだ。
- 小鈴
……というのは?
- 綴理
鳥籠を出たボクは、次の鳥籠に入った。
そこは前にいたところよりちょっと広くて、暖かな鳥籠がいくつもあった。 - 綴理
営みが続く場所には、必ず鳥籠があるんだ。
寂しくなった時には、軒下に、お邪魔させてもらってる。 - 綴理
みんな温かく、迎えてくれたよ。
- 綴理
ボクが手にしたコンパスは、鳥籠から鳥籠へ、
旅するためのものだったんだ、って。 - さやか
……それは、素敵な例えですね。
- さやか
どうですか?
今の鳥籠の居心地は。 - 綴理
それぞれに、それぞれの良さがあるって思うよ。
さやもすずもいないけど、なんとかやっていけてる。 - 綴理
いい人たちがたくさんいるんだ。
今もボクは、みんなに支えられて生きている。 - さやか
なによりです。
きっと、綴理先輩の人望がなせるわざですよ。 - 綴理
うん。
……ああ、でも自分で言っちゃいけないからね。 - さやか
ふふ、そうですね。
- 小鈴
……綴理先輩。
- 綴理
うん?
- 小鈴
大学と蓮ノ空とどっちが……。
- 小鈴
あ、いえ、なんでもありません!
- 綴理
……すず。
- 小鈴
は、はい!
- 綴理
かけがえのないものは、増えるばかりだよ。
減ることなんてない。 - 小鈴
…………そう、なんでしょうか。
- 綴理
うん。
すずにもすぐに分かる。 映画を作ったきみになら。 - 小鈴
……大切な人は、減らない……でも。
- さやか
……。
綴理先輩には大学で素敵な出会いがあった。 それは喜ばしいことです。 - さやか
そして、わたしは綴理先輩の今に何があろうとも、
わたしの居場所を誰かに譲る気はありません。 - さやか
だから、それでいいんですよ。小鈴さん。
綴理先輩にとってのあなたは、いつだって変わらない。 - 小鈴
……はい。
- 綴理
さやは、どう?
さやの中での、すずは、変わらない? - さやか
そんなの、当たり前じゃないですか。
わたしにとっての小鈴さんの場所は、いつまでも小鈴さんの場所です。 - 綴理
……だってよ。
- 小鈴
……わかってます。
わかってるんです。 - さやか&綴理
……。
- 小鈴
あ、ご、ごめんなさい!
ちょっとお手洗いに行ってきます!!! - 綴理
さや。
- さやか
わかっています。
- さやか
……難しいものですね。
- さやか
果たして、わたしから言えることはあるのだろうかと。
離れる側に言えることは、あるのでしょうか。 - 綴理
すずの気持ちの問題では、あるからね。
- さやか
綴理先輩。
わたしは……彼女に、なにかを遺したいと思っています。 - 綴理
出会った時からたくさん渡してるよ。
- さやか
……でしたら、最後に。
せめて、寂しくないように。 - 綴理
だとしたら……一番伝えたいことを、伝えてあげることじゃないかな。
- さやか
一番伝えたいこと……。
- 綴理
たくさんあると思う。 わかるよ。
でも、その思いをまとめる一本のリボンが、見つかるといいね。 - さやか
わたしにとっての、一本のリボン、か。
- 小鈴
Bloom Garden Party、ぜひおいでくださいね!
- 小鈴
105期最後の……大舞台です!