こずにばっかり任せてないで、ボクも部員増やさないと。

でも……これ配るのはなんか違う気がする……。

……うーん。なんか、こう。

もっと、自分から来て欲しい？のかな？

とりあえず踊ろうかな。

それで見てくれた人が、好きになってくれたらいいのかなあ。

スクールアイドルクラブ……？

スクールアイドル、か。
ここもチェックしなきゃ……。

あ。そっか。好きになってくれた人じゃない。
話聞いてくれた人でもない。誘うのは。

ボクが、ボクが見たい、
ボクが好きになれるスクールアイドル。

え、あの、なんですぅ！？
距離感おかしい人しかいないんですかこの学校！？

キミ、スクールアイドルに興味ある？

え？興味ですか？それはまだちょっと分からないというか。
見てみたいとは、思うんですけど。

分かった。じゃあライブ来て。

え、あ、スクールアイドルクラブの方だったんですね……。
急に何かと思いましたよ……。

ライブ、すぐ始めるから。
あと……。

はい？

キミはたぶん、凄いスクールアイドルになれる。
それじゃあとで。

あ、ちょ、わたしはーー。

今日からお世話になります。どうか、宜しくお願いします！
夕霧先輩にご指導いただけるなんて、嬉しいです。

こちらこそ、ありがとう。

それじゃあ、えっと。何から始めましょうか！
なんだってやります！

うん。そうだね。たぶん、さやのその気持ちが一番、
スクールアイドルに向いてると思うんだ。

ボクは、それを見たい。

ごめん、わかんないね。
なんでもない。……何から始めるかだよね。

は、はい。

じゃあ……そうだな。
キミは、ボクの隣に立ってくれる？

……ええっと？

ごめん。やっぱり、これもわかんないね。
とりあえず、踊ろう。

さやに、どうなって欲しいかって。
それを、わかんないで片づけてたのは、ボクの方だ。

……行かなきゃ。今度こそ。

わん、つー、すりー、ふぉー！
わん、つー、すりー、ふぉー！
さやかちゃん、良い感じ！！

ふぅ……。

はいタオル！

すみません、花帆さん。花帆さんの練習もあるでしょうに。
付き合わせてしまって。

いーのいーの！あたしのときだっていっぱいサポートしてもらったし！
これでもマネージャーやってたんですよ、あたしは！

そういえば……あの時も、大助かりでしたね。
本当に、ありがとうございます。

えへへっ。

やっぱりさやかちゃんは凄いよ！
すっごく上手！

そう、ですか？
……でも、きっと花帆さんの方がずっときらめいていましたよ。

へ？

花咲く、が少しわかってきたかもしれません。
ライブの時の花帆さんは、本当に輝いていましたから。

そ、そーかな？それは嬉しいけど、
さやかちゃんに比べるとできないことばっかりだし、まだぜんぜんだよ！

そんなこと……ありませんよ。

最近停滞気味、って言ったじゃないですか。
あれは少し正確ではないんです。

わたしはただ、これまでフィギュアの経験を応用していただけで。
始める前と今で、なんの変化も成長もしていないんです。

そうなのかなあ……？

はい、そうなんです。

……。

さて、もう少し頑張りますか。

あ、うん……。

あのさ、さやかちゃん！

はい？

あたし、さやかちゃんの歌もダンスも、すっごく好きだから！！
すっごく綺麗だと思ってるから！

他の誰がどう思っても、さやかちゃん自身がどう思っても！
さやかちゃん見てると、頑張ろうって思えるから！

花帆さん……？

そ、それだけ！

の、飲み物取ってくるね！

花帆さんは本当に、優しい人ですね。

……でもね、花帆さん。
わたし、すごいスクールアイドルになれるって言われたんですよ。

夕霧先輩はそう思って、スカウトしてくれたんです。
なのにこのありさまでは、あまりに情けないんです。

もっと、頑張らなきゃ。