第7話『センパイとコウハイ』
PART 4
綴理 | こずのことは、好きだよ。 |
綴理 | うん、こずが居なきゃ、スクールアイドルクラブを続けていたか、 分かんないくらい。 |
綴理 | スクールアイドルのことを色々教えてくれたのもこずだしね。 |
綴理 | それに……スクールアイドルっていうものを一番好きなのも、 きっとこずだから。 |
花帆 | そうなんですか? |
花帆 | さやかちゃんからは、綴理センパイも すっごくスクールアイドルが好きって聞きましたけど。 |
綴理 | もちろん、ボクも好きだよ。 |
綴理 | でもボクの好きは……こずの好きとはちょっと違うからね。 あれ? じゃあ比べられない……? |
花帆 | ふたりとも大好きなんですね! |
綴理 | じゃあそうしよう。 でも、だから……。 |
花帆 | 綴理センパイ? |
綴理 | あ、ああごめん。 で、なんだっけ。 |
花帆 | 梢センパイのことどう思いますか!って話です! |
花帆 | 色々聞けた気もしますけどね。 綴理センパイも、梢センパイのことが好きでよかったです! |
綴理 | ああ、うん。 それは間違いないよ。 |
花帆 | ……。 |
綴理 | かほ? |
花帆 | ……あの、綴理センパイ。 じゃあもう一個聞いてもいいですか? |
綴理 | いいよ、なんでも。 |
花帆 | 軽い! |
花帆 | じゃあ、一緒にステージに立ってないのは…… ユニットが違うからですか? |
綴理 | …………。 |
花帆 | 綴理センパイ? |
綴理 | それも、あるかもね。でも。 |
花帆 | ……でも? |
綴理 | 半年前に、約束しちゃったから……かな。 |
花帆 | そっか。 |
さやか | 仲が悪い、というわけではなさそうです。 むしろ…… |
花帆 | うん。大好きじゃん。 |
花帆 | でも……梢センパイも綴理センパイも、 ステージに一緒に立たないって言った時だけは、やっぱりすごく暗い顔してた。 |
花帆 | 梢センパイはなんだか冷たかったし、 綴理センパイは寂しそうだった。 |
さやか | 半年前の、約束……ですか。 思えば……。 |
さやか | ちょうど、12月くらいからでしょうか。 |
花帆 | えっ?なにが? |
さやか | 一緒に映らなくなったことです。 綴理先輩と、乙宗先輩が。 |
花帆 | あ……。 |
花帆 | でも、じゃあきっと半年前に何かがあったんだよ! それをどうにかできれば、センパイたちもーー。 |
さやか | 花帆さん。 |
さやか | そもそもこれは、先輩がたの記事を書くために始めたことです。 確かに、わたしだって気になりますけど。 |
さやか | でも、ただの好奇心で踏み込んでいい問題とは、思えません。 記事のためのお話は、もう十分聞けましたから。 |
花帆 | それは……。 |
さやか | ごめんなさい。 わたしだって同じですよ。 |
さやか | 先輩がたの間に少しでも問題があるなら、 どうにかしてあげたいと思ってしまう。 |
さやか | だからふたりで聞き込みもしたわけですしね。 |
さやか | でもこれ以上踏み込んで良いものかは…… わたしには分かりません。 |
花帆 | ……そう、だね。 |
さやか | ここまでにしておきましょうか? |
花帆&さやか | ……。 |
花帆 | ……ねえ、さやかちゃん。 |
花帆 | さやかちゃんの言ってることは、分かってる。 正しいとも、思う。 でも、でもさ。 |
花帆 | あたしやっぱり、嫌だな。 |
さやか | 花帆さん……。 |
花帆 | 仲が良くてほっとしたよ? 梢センパイが綴理センパイから褒められて嬉しかった。 |
花帆 | さやかちゃんからも、梢センパイが綴理センパイを好きって聞けて良かった。 でも、だったらなおさら嫌じゃない? |
さやか | 嫌か、嫌じゃないかで言えば、わたしだって嫌です。 でも……。 |
花帆 | あたし、綴理センパイの寂しそうな顔見ちゃったよ。 梢センパイだって、絶対今のままが嬉しいなんて思ってないじゃん。 |
花帆 | ふたりとも、大好き同士で……。 だったら、もう少し何かあれば……。 |
さやか | ふたりはまた、一緒にスクールアイドルができると? |
花帆 | その、もう少し何か、の何かさえ見つかれば良いのにって思うんだ。 どうしたって今のままは嫌だよ。 |
花帆 | 梢センパイにも綴理センパイにも、あんな顔一生しないで欲しい! ふたりのことが好きだから! |
さやか | 花帆さん……。 |
花帆 | ……ダメな気持ち、かなあ。 |
さやか | いえ。いいえ。 |
さやか | そうですね。 どうにかしてあげたいと思うのは、先輩のことが好きだから。 |
さやか | 一生暗い顔をしてほしくない。 ……わたしだってそう思いますよ。 |
花帆 | うん。センパイたちが抱えてるものが分かれば……。 あたしたちで、手がかりさえつかめれば! |
さやか | できることもあるかもしれない……。 わたしたちにも。 |
さやか | ……分かりました! もう少しだけ調べてみましょうか。 |
花帆 | さやかちゃん……! ありがとう! |
さやか | お礼を言われるようなことではありませんよ。 ですがやっぱり直接聞くのは気が引けます。 |
さやか | まずは……そうですね。半年前何があったのか…… それこそ大倉庫でなら、何か分かるかもしれません。 |
花帆 | うん……行ってみよう! |
花帆 | これ、去年のだ。 |
さやか | ということは、この辺りですね……。 |
さやか | アルバム作り……わたしたちもやってみたいな……。 あまり、プリントすることもありませんし。 |
さやか | ……あ。 |
花帆 | どうしたの? |
さやか | これ、見てください。 |
花帆 | センパイたちだ! |
さやか | 一年生の時の先輩がた……なんだか新鮮ですね。 |
さやか | 『Dream Believers…一年生お披露目!』 ……ドリーム、ビリーバーズ? |
花帆 | 曲の名前かなあ。 でも、一年生お披露目ってことは。 |
さやか | はい。 これは、去年の撫子祭みたいですね。 |
花帆 | 一緒のステージに、立ってる。 梢センパイも、綴理センパイも。 ……っと、あれ? |
さやか | これは……生徒会長? |
花帆 | ほんとだ! それにーー。 |
花帆 | この人、どこかで……。 |
さやか | じゃあ、 これが去年のスクールアイドルクラブのメンバーだったんですね……。 |
花帆 | この人たち、なんで今いないのかな……。 |
さやか | それは……。 いえ、確かに気になることではありますが…… 今は、綴理先輩たちのことを優先しましょう。 |
花帆 | うん。 ごめん、そうだね。 探そう! っとと!? |
さやか | 花帆さん!? |
さやか | 大丈夫ですか? |
花帆 | うん、平気……ありがと、さやかちゃん。 え、えへへ。 |
さやか | ……えっ? |
花帆 | さやかちゃん? あたしのせいでどこか打った!? |
さやか | いえ、そんなことは。 それよりも、これ。 |
花帆 | 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ…… ラブライブ!地区大会突破!? |
花帆 | え、すごい! センパイたち去年、全国大会出てるの!? |
さやか | 花帆さん、その下です。 |
花帆 | 下……えっ……。 |
花帆 | 全国大会出場……辞退? |