第11話『スクールアイドルクラブのために!(?)』
PART 6
瑠璃乃 | んゅ~……。 |
慈 | あ、ごめん。 起こしちゃった? |
瑠璃乃 | めぐちゃん、なにしてるの~……? |
瑠璃乃 | ミニライブの動画だ~。 昨日もずっと編集してたのに~……。 |
慈 | ん、早いうちに完成させたくって。 午前中に宣伝したら、午後から温泉のお客さん増えるかもだし。 |
瑠璃乃 | めぐちゃんはがんばりやさんだねえ~……。 |
瑠璃乃 | でも、あんまりがんばりすぎると、充電なくなっちゃうよ。 |
慈 | ……。 1年も充電してたんだもん。 これ以上、のんびりしてらんないよ。 |
慈 | 梢だって綴理だって、できることをがんばってた。 だったら私も、私のできることで、蓮ノ空に貢献しなくっちゃ。 |
瑠璃乃 | 貢献……貢献かあ……。 |
慈 | うん? |
瑠璃乃 | ……ううん、なんでもない。 おいしょ、と。 |
慈 | ? なんで向かいに座るの? 寝直すなら、お布団に。 |
瑠璃乃 | だったらルリも、今ルリにできることをするのだー。 って言っても、話し相手になることぐらいだけどねぇ~。 |
慈 | ん……。 ありがと、るりちゃん。 |
瑠璃乃 | あ、それともずっとめぐちゃんのこと応援しててあげる? |
瑠璃乃 | フレッ、フレッ、めぐちゃんっ。 がんばれがんばれ、めぐちゃんっ。 世界でいちばんかわいいっ、めぐちゃんっ。 |
慈 | うん…………。 嬉しいけど、今は邪魔かな! |
慈 | よっしゃー! 終わったー! アップロード、と! |
瑠璃乃 | おつかれさまー! |
慈 | ってうわ! もうチェックアウトの時間!? 旅館の人にご挨拶もしなきゃだし、早くお部屋出る準備しなくっちゃ! |
瑠璃乃 | ふふふっ、もちろんぜんぶ完了しております! めぐちゃんの着替えもほらこちらに! |
慈 | るりちゃん大好き! |
慈 | ごめんごめん、遅れちゃって☆ |
梢 | いいのよ、ギリギリまで編集お疲れ様。 |
慈 | む……なぜそれを……。 るりちゃんだな!? |
瑠璃乃 | そうとは限らないと思います! 今回はルリだけど。 |
慈 | っておい! |
綴理 | さっき見たよ。 とてもよかった。 |
花帆 | 女将さんも宣伝になるって、すっごく喜んでました! |
さやか | 是非また来てくださいね、って。 |
慈 | そ、そお? まあ、私はちょちょいのちょいってやっただけだけどね! |
瑠璃乃 | ほんとは昨日から~。 |
慈 | はい余計なことはお口チャック! 次言ったら、るりちゃんの小学校時代の恥ずかしい思い出ばらすからね! |
瑠璃乃 | なにそれそんなのお互い様じゃん!? ルリだってめぐちゃんの過去メガ盛り知ってるし! |
慈 | ぐぬぬぬ……。 |
花帆 | あははっ、いいですね、幼馴染って。 |
綴理 | ボクも作ろうかな、幼馴染。 |
さやか | 実は、そういうことが絶対できないのが、 幼馴染なんですよ。 |
綴理 | そんな……さやでも…………? |
梢 | さやかさんでもよ。 |
さやか | わたしにできることは、煮物を美味しく作れるぐらいですから……。 あ、いえ、さすがに他にもいろいろありますけど! |
梢 | さ、それじゃみんな。 旅館の方にお礼を言ってから、チェックアウトしましょう。 |
梢 | また蓮ノ空の生徒が呼んでもらえるように、 最後までキチンとね。 |
花帆 | はーい。 |
さやか | それではーー。 |
花帆&さやか&梢&綴理&瑠璃乃&慈 | お世話になりましたー!! |
慈 | 一年生は、迎えのバスが来るまで観光。 その間、私たちはカフェでのんびり。 優雅だけど……。 |
綴理 | 子どもとお母さんみたいだよね。 |
慈 | 言うなっての。 まだ高校二年生だから。 |
梢 | 戻ったらそのまま市内のライブ会場に向かうんだもの、 私たちぐらいはゆっくりしていましょう。 |
梢 | どうせ、 ライブ会場でも色々とやらなければならないことがあるんだから。 |
梢 | それに、特にあなたはゆっくりしていてもいいんじゃない。 慈。 |
慈 | え? |
梢 | この二泊三日は、お疲れ様。 いろいろと、手配をしてくれていたのでしょう。 |
慈 | それは……別に、私自身のためだし。 誰かのためとかじゃないしね! |
慈 | ラブライブ!予選の開始が間近に迫ってるんだから、 みんなに気合を入れたかっただけ! |
慈 | 私のいる高校で、誰かが予選敗退とか、 ありえないんだから! |
梢 | ふふふ、そうね。 さて、今年はどうなることかしら。 |
綴理 | もちろん、大会優勝にだって手が届くさ。 今回は、めぐだって、みんなだっているんだから。 |
梢 | ……ええ、そうね。 ありがとう、綴理。 |
慈 | 綴理はそういうことサラッと言えちゃうの、すごいよねえ。 |
綴理 | めぐもすごいよ。 カメラの前だとぜんぜん違う。 |
慈 | キャラ演じてるみたいな言い方しない! 衣装とかメイクみたいなもんで、あれも私! |
綴理 | めぐはふだんからかわいいのに。 |
慈 | だったら、かわいい私がさらにかわいくしたら、 みんなもっと嬉しいでしょ。 |
慈 | だからいつでも、かわいくて、かっこよくて、 完璧な私を見せてるの☆ |
梢 | ふふっ。 そういえば去年は私たちも指導されたわね。 |
梢 | 配信でもステージでも、自分の魅せ方について、たっぷりと。 |
慈 | そのたびに梢は、 スクールアイドルたるものはーーって反発してきたよね。 |
綴理 | ボクは、そうなのかー、って聞いてた。 そういえば、最近はビッグボイス選手権開催してないよね、こずとめぐ。 |
梢 | ……あなた、口喧嘩のことを、 ビッグボイス選手権って呼んでいるの?? |
慈 | まあ、今は別に、どんな形でもいいと思ってるけどね。 |
慈 | どうすれば見てくれている人をもっと楽しませることができるのか、 真剣に考えて、やったことなら。 |
梢 | ふふっ、そうかもね。 でも、それを気づけたのは、どうして? |
慈 | まあ、動画作るためにみんなのライブや配信を1年間も追いかけてたら、 嫌でもね。 |
慈 | ……つまんなかったら、途中でやめてたし。 |
慈 | ……なんかこう、これを言うと自分が年を取ったみたいで、 すごくヤなんだけど……。 |
綴理 | めぐ、大人になった。 |
慈 | それ! だから言うなっての! |
梢 | ふふふ。 |
梢 | 0か1かじゃないのよね。 |
梢 | 当時あなたの言っていたことも正しい部分はあって、 私にも譲れないところがあって。 |
梢 | でも、いいのよ。 お互い、相手のいいと思った部分を取り入れて、 スクールアイドルとして成長できれば。 |
慈 | 私は梢のきゃるんっとしたところも、 見てみたいけどねー。 人気出そう! |
梢 | わ、私はあなたみたいには、できないもの! |
慈 | 綴理はできてたのになー。 ねー? |
綴理 | はーいハロつづー。 かわいいかわいい、みんなのつづちゃんだよー。 |
梢 | 棒読みじゃないの! |
慈 | 探せば写真の1枚ぐらいは残っているんじゃないかな……。 梢がツインテールにしてリボンつけてたやつ……。 |
梢 | ないわ。 ぜったいないわ。 |
慈 | めぐちゃん見てみたいのに☆ |
綴理 | つづちゃんも見てみたいのにー。 |
梢 | やめなさい! |
花帆 | せ、センパイー! |
梢 | か、花帆さん? い、いえ、頼まれてもやりませんからね! |
花帆 | あの、あのあの! |
慈 | うん? |
花帆 | 旅館が、大変なんです! |