第14話『Link!Like!』

PART 3

時系列は翌日辺り。ユニットごとに練習をしながら、あれこれと意見を出すパート。まずはDOLLCHESTRAから。
ふたりで背中合わせに、お互いを交互に背負うストレッチをしているイメージ。
さやか
配信ならできて、会場だとできない演出って、どんなのがあるんでしょうか。
綴理
うーん……ロケーションとか、かな。
さやか
なるほど。 確かに、蓮ノ空の校庭でライブするのは、
シチュエーションとしても気持ちよさそうですね!
綴理
すごい雪に腰まで埋まって、動けるところだけで表現する。
うん、会場じゃできない。
さやか
できませんけど! できないからなんなんですか!?
綴理
そこで大爆発が起きて、全部の雪が水に、雫に変わって弾けるんだ。
一瞬で、燃え盛る熱いステージになってーー。
さやか
お外でも危なくてできませんよ!
みらくらぱーく!が振り付けを練習しつつ、話し合う。
スクコネでライブを配信するのって、実際メリットあると思うんだよね。
瑠璃乃
ってーとー?
だってほら、会場だと見に来れない人もいっぱいいるでしょ?
めぐちゃん推しのみんなは世界各地にいるんだから!
そんな、すべての人がリアルタイムで応援してくれるとか、
これはぜったい盛り上がるってわけだよ!
瑠璃乃
確かに。 会場の控え室までダンボールハウスもってくのはしんどみだけど、
配信ライブなら開始1分前まで充電切れてていいんだもんね!
そうだね! それすっごく後ろ向きに前向きな意見だね!
花帆
……。
配信内の花帆のセリフ
配信の声が漏れて、梢が近づいてくる。
そろそろ練習を再開しましょうか。 花帆さん?
花帆
あっ、ごめんなさい!
なにを見ていたの? スクコネ?
わたわたと慌てる花帆に、梢が微笑む。
花帆の肩越しに流れるコメントを眺めながら。
花帆
あの、えっと、サボってるわけじゃなくて……。
うふふっ、花帆さんも、ずいぶん応援してくれる人が増えたわね。
こまめに配信を続けてきたものね。
花帆
は、はい。 そうです。 そうなんです。
いろんな人が、応援してくれて。
ぼんやりと、配信の流れるコメントを見つめる花帆。
花帆
でも、『ネット禁止令』が校則になっちゃったら、
もうみんなに会えなくなるのかなあ……って。
……そうね。
花帆
ネット配信で北陸大会に出るぞ!
って思ってから、改めてよく考えてみたら……。
花帆
あたし、今までなんとなく『ネット禁止令』
ってどういうものかわかってなかったっていうか。
花帆
スクコネが使えなくなっちゃうなんて困るよ~、
ぐらいの気持ちだったんですけど……。
花帆
でも、昔の動画を見てて、思ったんです。
花帆
スクコネには、
あたしがスクールアイドルクラブに入ったばかりのつぼみだった頃から、
花帆
ずっと見守ってくれてた人がたくさんいて。
花帆
あたし、あんまり歌もダンスも、トークだって上手じゃなかったのに、
いっぱいコメントくれたり、応援してくれたりして……。
花帆
スクコネが使えなくなるってことは、そんな人たちとの繋がりが、
ぜんぶ無くなっちゃうかもってことなんですよね。
……ええ、そうよ。
梢が花帆の肩に手を置いて、微笑む。
だからそんなことは、させない。
大切な場所を守るために、がんばりましょう。
みんなも、きっと同じ想いよ。
このシーンは次のシーンと話が続いているので、綺麗に締めずに次に。
DOLLCHESTRA組が食堂でご飯を食べながら、スクコネについて軽く語るシーン。
綴理
スクールアイドルには、ひとりじゃなれないんだ。
綴理
応援してくれる人のおかげで、
ボクはスクールアイドルだって、胸を張って言える。
綴理
大好きなスクールアイドルになれたんだ。
さやか
わたしも……。 最初は配信ってすごく苦手だったんですけど、
でも、皆さんずっと優しくしてくださって。
さやか
がんばっていることそのものを、
見てくれている誰かがいるって、とっても幸せなことだと思うんです。
みらくらぱーく!組がお風呂に浸かりながら、スクコネについて軽く語るシーン。
瑠璃乃
めぐちゃん言ってたけどさ。
世界中に推しがいるって、その通りだと思うんだよね。
瑠璃乃
だって、ルリはスクコネがなかったら、みんなのこと知らなかったんだよ。
瑠璃乃
みんなでずっと一緒にいても楽しいだなんて、
配信でみんなのことを知らなきゃわかんなかった。
私にとっては、応援団かな。 いっつも元気をくれるし、
見られているんだからがんばらなくっちゃって気合入りまくるしさ。
正直、蓮ノ空でやってこれたのって、100パー、スクコネがあったからだよ。
だから、このまま繋がりがなくなっちゃうなんて、そんなのぜったいナシ!
コメントと会話を始める花帆。
北陸大会目前にスクールアイドルクラブが大ピンチなのを隠すために、慌てる花帆。
スクコネのみんなに、自分の決意を表明する花帆。決して逃げないと誓うための儀式。
寝ぼけ眼の花帆。食堂でみんなと同じように集合しているが、話を半分しか聞いていない。
食堂の椅子に座って、あくびを噛み殺す花帆。
眠くてほぼ話を聞いていない花帆。
うつらうつらしている花帆の耳に、寮母さんの言葉が届く。
びくっと顔をあげる花帆。
立ち上がって叫ぶ花帆。