第7話『Link to the FRIENDS!』

PART 1

ラブライブ!に向けて、部内会議。メンバー全員集合。
今回の進行は、二年生三人。ホワイトボードの前に、さやかと花帆、そして瑠璃乃が立っている。
さやか
いよいよ、10月ですね。
今月のイベントは竜胆祭と。
花帆
そして、ラブライブ!地方予選があります!
あたしは手順通りばっちりですよね、という態度で三年生を見やる花帆。
花帆
ですよね、梢センパイ!
梢は落ち着いてうなずく。
ええ、大丈夫よ。
その調子で進行してちょうだい。
瑠璃乃
今年は、最初から3ユニット合同の合体モード!
スクールアイドルクラブは、1枠での出場になります!
瑠璃乃は不安というよりは、やってやるぜ、というテンションで慈に同意を求める。
瑠璃乃
だよね、めぐちゃん!
いちいち三年生を見なくていいから!
違ってたらちゃんと口挟むから、自信もってやんなさい!
さやか
……ええと、つまり、そういうことです。
さやか
この半年間で培った練習の成果を、
すべて出し切れるようにがんばりましょう。
静かに拍手する綴理。
綴理
さやは堂々としていて、りっぱ。
はぁ? うちのるりちゃんがいちばん場を回すの得意なんだが~?
ふたりの争いを横目に、花帆を褒める梢。
でも、花帆の声には力があるのよね。
胸の奥から勇気がわいてくるというか。
無言で顔を見合わせる三年生。ギスギスしているわけではなく、どうしてふたりとも急に自分の後輩を褒めているんだろう……という、自分を棚上げした疑問の間。
梢&綴理&慈
……。
褒められたのは嬉しいけど、進行の邪魔をしている慈にツッコミを入れる瑠璃乃。
瑠璃乃
そういう口は挟まなくていいんだよ、めぐちゃん!
さやか
コホン……。 去年のわたしたちは、
惜しくも全国大会で敗退という結果になってしまいました。
メンバーそれぞれの、決意の顔が映ってゆく。
さやか
ですがわたしは、
この3ユニット合同という形そのものが間違っていたとは思いません。
さやか
Link to the FUTURE。
さやか
それぞれのユニットが積み上げてきた力をひとつに束ねて、
ひとつの曲に結集させる。
さやか
それは、本来はユニットが歌う3曲と、そして全体曲。
合計4曲の力を掛け合わせたものになるはずです。
さやか
スクールアイドルクラブの強みを活かすのなら、
これ以上の選曲はありません。
花帆
繋がる力、だからね!
真剣な表情をしていたさやかは、花帆の言葉に、笑顔でうなずく。
さやか
はい!
控えめに挙手する吟子。
吟子
あの……先輩方。
瑠璃乃
あい! なんでしょう吟子ちゃん!
吟子
でも、その、今回披露するメドレー曲
『Link to the FUTURE』は、
吟子
決勝で負けちゃった曲……なんですよね?
腕組みしつつ、コクコクとうなずく瑠璃乃。二年生としての貫禄が出てきた。
瑠璃乃
うん、そーだね。
吟子
なのに、大丈夫、なんですか?
さやか
今年のラブライブ!大会の規定では、新曲が必須条件ではありません。
なので、まずはこの曲から、始めましょう。
瑠璃乃
この先のために、ね。
去年の決勝曲を第一歩として、ルリたちはさらに前に進むんだ。
瑠璃乃
過去からミライへ。 そして……さらにその先へ。
地区予選を超えて、決勝を目指して!
吟子
この先へ、進むために……!
手を打って、話を切り替える瑠璃乃。具体的な話にうつる。
瑠璃乃
と、ここまではいいとして。
瑠璃乃
質問はありますか? ないですか?
では! 例のアレの話に移ります!
花帆、ホワイトボードにバンと手を当てる。
花帆
うん! そのために考えたんだ、あたしたち!
綴理
なになに?
花帆
今年ってなんと……カレンダーの都合で、
竜胆祭が月末よりちょっぴり早いんですよ! 知ってました!?
それは、生徒みんなが知っているわね。
花帆
なので、予選を迎える前に、そこで一度お披露目しましょう!
9人になった新生Link to the FUTUREを、みんなに!
おー、なるほど。 手ごたえを見るわけだね。
花帆
はい! なんといっても、
今年の目標はーーラブライブ!優勝、ですからね!
そこでカメラが一年生サイドに映る。
小鈴
す、すごい……。 入念に考え尽くされている……!
早くもスクールアイドルクラブ、最大最強のチャレンジのときが来ましたね!
姫芽
血のたぎりを、押さえられないかもしれませんね~。
吟子
ニコニコしながらすごいこと言ってる……。
グッと拳を握る吟子。
吟子
でも、なんか……具体的な目標が迫ってきて、私も燃えてきたかも。
瑠璃乃
一年生のみんなには初めての大きな大会だから、
緊張もすっごくすると思うけどさ。 そのための竜胆祭だからね。
瑠璃乃
学校のみんなにも、来賓のひとびとにも、
ルリたちが楽しんでるとこ見てもらおー!
一年生を明るく元気づける瑠璃乃。一年生たちは声を揃えて、うなずく。
吟子&小鈴&姫芽
はい!
やることを指折り数えつつ、ワクワクした様子の花帆。
花帆
まずは9人での練習場所を確保して、それからユニット練習をしつつ、
合同練習も重ねなきゃだから……。
花帆
わー、これから、ますます忙しくなっちゃう!
手を挙げながら立ち上がる小鈴。
小鈴
あ、それなんですけど!
自分もなにか力になりたいと願う小鈴は、両手を広げて告げる。
小鈴
この徒町、練習場所はもう押さえておきました! 9人での練習場所を!
さやか&綴理
おおー!/お~。
小鈴
いっつもさやか先輩がやってるのを、隣で見てますからね!
えっへんの小鈴。マイペースに手を挙げる姫芽。
姫芽
え~と、あの~。
実はアタシも、練習場所を予約しちゃってました~。
小鈴
え、そうなの!?
姫芽
かぶっちゃったね~。 どっちかキャンセルしなくちゃ~。
頭を下げる小鈴と、苦笑いする姫芽。
小鈴
あうう、こういう失敗もあるのか……! すみません!
姫芽
ううん、こちらこそ~。
さらに控えめに手を挙げる吟子。
吟子
あのー……。
小鈴
まさか!?
一同の目が、吟子に集まる。
姫芽
……まさか~?
誰にも相談せずに先走って練習場所を取ってしまった吟子は、恥ずかしそうに肩を縮こまらせながら、うめく。
吟子
私も、はい……。
竜胆祭前だからって、どうりで埋まってるわけですね……。
吟子
申し訳ないです……。
梢、苦笑いしながら言って、花帆もニコニコとうなずく。皮肉のつもりではない。
ふふっ……みんな、やる気にあふれてて、素晴らしいわね。
花帆
そうですね!
それじゃ改めてみんな、分担しつつ協力しつつ、がんばってこ。
吟子&小鈴&姫芽
はい……!/はい!/は~い。
瑠璃乃がこぶしを突き上げて、温度を取る。
瑠璃乃
よ~し、それじゃあ~。
瑠璃乃
練習だ~!
そして練習漬けの日々が始まる。
ここで、朝、昼、夜、朝、昼、夜、と次々と日付が変わってゆく表現。
イメージでは、校舎を映す定点カメラです。
(あるいは、日めくりカレンダーがペラペラとめくれていく、など)
その途中で、吟子、小鈴、姫芽がリンクトゥザフューチャーの猛特訓をしている場面が挟まる。