第7話『Link to the FRIENDS!』

PART 6

まず最初のバトルは、校庭で。
胸に手を当ててかしこまって告げるさやか。
さやか
それでは、第二のバトルは……創作ダンスで勝負させていただければと。
参りました、と平伏して、じゃあやりますか、と顔を上げる小鈴。
小鈴
参りました。 じゃあやりますか。
吟子
いや待って! 今の参りました、なに!?
小鈴
だって、さやか先輩の得意分野だから……。
負けても得られるものがあると信じて、ぶつかろ……。
腕を掴んで顔をあげさせる吟子。儚い笑顔を浮かべる小鈴。
吟子
やる前から諦めなくたっていいじゃん!
花帆
それじゃ、いっくよ~!
シーン内場面転換。
敗北している吟子、小鈴、姫芽。息を切らしているさやか。先輩としてのプライドを守れた。
さやか
はぁはぁ……ど、どうですか!
吟子
はぁはぁ……ぐっ……負けた……!
小鈴、少し嬉しそうに。
小鈴
はぁはぁはぁはぁ……ふふ、やっぱりつよいですね……はぁ……。
姫芽が負け惜しみではないことを強調しつつ、落ち込みかけた吟子と小鈴に発破をかける。
姫芽
ひーふぃー……むむむ。 悔しいきもちはありつつ……。
負けるのまでは、一応想定内だからね~。
姫芽
しっかり反省会やって、この敗北を経験値に変えちゃお~!
同日、小鈴の部屋にて反省会。全員、寝間着(部屋着)。
吟子
とりあえず今のところわかったこととして……。
吟子
小鈴のストロングポイントは、大きなパフォーマンス。
吟子
普段DOLLCHESTRAの中にいても
見劣りしないようにってがんばってたのが、小鈴の長所なんだね。
他人事のように言う。こんな徒町に秘められた力が……と、意外そうに自分の両手を見下ろす小鈴。
小鈴
そうだったん、ですね……。
姫芽
つまり~、アタシが小鈴ちゃんからバトンタッチされるときには、
もっと元気に登場したほうがいいかな~。
吟子
うん、それがいいかも。
小鈴
よーし、明日もがんばろうね!
前向きな話し合いができた三人は、やるぞという気持ちでうなずき合う。
全員が練習着で体育館に集合。瑠璃乃がバスケットボールを持ちつつ、告げる。
瑠璃乃
第三のゲームは、バスケットボール!
3on3で勝負だぜー!
目を輝かせる姫芽。こんなときにもみらぱ!オタクのノリを出す姫芽に、言い聞かせる瑠璃乃。
姫芽
え~!? バスケやってるるりちゃんせんぱいもかわいい~!
ボールの方が大きく見える~! 録画してていいですか~!?
瑠璃乃
しょーぶ! 勝負だからね!?
さやか
瑠璃乃さん、このあいだ授業でやったバスケも上手でしたもんね。
瑠璃乃
へへへ。 カリフォルニアでは、たまに近所の公園でやってたんだ。
ひとりで、シュートの練習とか。 しゅしゅーっと。
吟子
ぐ、思った以上に強敵かも……。
小鈴
こっちは姫芽ちゃんが頼りだね……!
怯む吟子と小鈴に対して、姫芽が張り切る。
姫芽
ふふふ、まかせとけ~。
花帆
ではでは~、スタートっ!
今度は姫芽の部屋で反省会。全員、寝間着(部屋着)姿。
吟子
やっぱり勝てなかったかぁ……。
小鈴
でもでも、姫芽ちゃんのパスすっごく通ってたよね!
吟子
そうだね。 周りをちゃんと見てて、視野が広いっていうか。
それは瑠璃乃先輩もだけど。
吟子
フォロー力……だけじゃなくて、周りを引っ張っていく、
牽引力、みたいなのもあった気がする。
小鈴
うんうん。 ほんとにチームプレイ上手だった!
姫芽
えっへっへ~。 照れますな~。
小鈴
これだったら徒町も、もっと姫芽ちゃんを頼って、
ギリギリまでダンスに集中してていいかも!
こうして順調に絆を育んでゆく一年生ズ。吟子が笑い合う小鈴と姫芽を見て、気が付いたようにつぶやく。
吟子
あれ。 なんか、もしかして……けっこう、いい感じ?
再び公園で泉に会うシーン。三人の服装は練習着。自主練習のつもりで公園にやってきたら、偶然泉に再会したという形。
あははは。 それはよかったね。
笑顔で泉に報告する小鈴。
小鈴
はいっ! 毎日が発見と驚きの連続です!
吟子
なんか……ふたりの練習もライブも当然見てたはずなのに、
一緒にやってみないとわからないことが、こんなにあるなんて。
小鈴
すごいよね!
そこまで落ち込んだ口調ではなく、いつもよりじゃっかん淡々とした口調でつぶやく吟子。今まで自分は小鈴と姫芽のなにを見ていたのだろう……という感情。
吟子
むしろちょっと落ち込む。
小鈴
なんで!?
ふふふ、チームっていうのはそういうものだよ。
ぺこりと頭を下げる姫芽。
姫芽
公園のおねーさん、いろいろとありがとうございました~!
小鈴
ハッ、そういえば名前もまだ聞いていませんでした!
ああ、そうだったね。
私は桂城 泉。 高校一年生だ。
衝撃の発言に驚く一同。
泉と小鈴を交互に見やる吟子。
吟子
えっ、高校生!? てか同い年!?
小鈴
今、徒町と見比べた!?
吟子にツッコミを入れてから、泉に向き直る小鈴。
小鈴
でも、お姉さんって言ってましたし、すっかり年上の方だとばかり。
ああ、そうだよね。 ごめんごめん。
いつも年下の子と一緒にいるから、ついね。
それと、なんとなく年上っぽい人からのアドバイスの方が、
受け入れやすくないかな?
吟子
それは確かに……。
って、だったらわざとじゃないですか!
目を細めて笑う泉。
ははは。
にしてもすごいね、言ったことがすぐできるようになるなんて。
あなたたちは、蓮ノ空だろう? さすが名門のスクールアイドルクラブだ。
小鈴
知ってるんですか?
そりゃ、名前ぐらいはね。
姫芽、嬉しそう。
姫芽
ほえ~、さっすがせんぱい方……!
吟子
姫芽だって、応援してくれる人、いっぱいいるでしょ。
姫芽
ま~、活動がんばってるからね~。
吟子ちゃんもそのうちのひとりだって、ちゃんとわかってるよ~☆
吟子
なっ、慈先輩みたいなことを……!
仲良さそうなふたりのやり取りを見て、くすくす笑う泉。
ふふふ、素敵な仲間だね。
小鈴
はい! 最高の仲間です!
臆面もなく言い切る小鈴に、恥ずかしがる吟子。
吟子
小鈴は! すぐそういうこと言う……。
ふっと笑う泉。自分の胸に手を当てつつ。
私にもね、大切な仲間がいるから、気持ちがわかるよ。
だからさ、あなたたちをなんだか放っておけなくて。
成功してほしいな、って思うんだ。 とても仲がよさそうに見えたから。
お互いのいいところも悪いところも知って、
その上で背中を預けられるようになったら、
そのとき、あなたたちのパフォーマンスは完成するだろうさ。
泉に応援されて、三人はお互い見つめ合う。
小鈴
うん、できるよ。 徒町たちなら、きっと!
吟子
……そうだね。 私たちはまだまだ完璧じゃないけど、
しっかりいいところを見つけて、フォローし合ってさ。
おー、と連帯感を高めてゆく一年生。
姫芽
この調子でガンガンせんぱいに挑戦して~!
竜胆祭で、ウルト決めちゃお~!
ふふふっ。
それじゃあ、よければもう少し具体的なアドバイスをしてもいいかな?
泉に頭を下げる吟子。泉はよどみなくすらすらと答える。
吟子
あっ、お願いします!
あなたは、任せられた出番を一生懸命やろうとしているね。
その意気は立派だけれど、
全体の盛り上がりのためにもう少し前に出てもいいんじゃないかな。
泉の言葉に、吟子は驚いて聞き返す。
吟子
えっ? そんな具体的に言ってくれるんですか?
迷惑かな。
微笑む泉に、滅相もない、と首を振る吟子。泉の言葉を受け止めるように、真剣にうなずく。
吟子
いえ……とても、ありがたいです。 とても。
姫芽
わ~、泉ちゃん、やるぅ~。
ありがと、姫芽ちゃん。
にっこりと笑い合うふたり。小鈴がアピールするように手を挙げる。
小鈴
はいはい! 徒町にも! 徒町にもお願いします!
吟子
あ、私にも、他にもあれば!
あはは、もちろん。 順番にいこうか。
泉の笑顔に三人が大きくうなずく。
あなたたちのライブ、成功を願っているよ。