第7話『Link to the FRIENDS!』
PART 7
あたりが暗くなっている中、梢が部室の鍵を閉める。 | |
梢がドアに施錠している間に、綴理と慈が廊下で談笑。 | |
梢 | 戸締りしていくから、ちょっと待っていてね。 |
綴理 | あ、今、かほの声。 |
慈 | え? 聞こえた? |
綴理 | うん。 だいはちばとるー、って。 |
苦笑いする慈。がんばる子たちだなぁ、と。 | |
慈 | あの子たち、まだやってるんだ。 |
そこに梢が戻ってくる。 | |
梢 | お待たせ。 ……なにか話してた? |
ただの興味本位で梢に尋ねる慈。特に梢になにかを言わせたいという意図はない。 | |
慈 | ねえねえ、梢。 私たちが今みたいに言い合えるようになったのって、いつからだっけ? |
だが、この質問は慈の罠なのではないかと思った梢は、じっと慈と綴理を見返して、そっけなく言う。 | |
梢 | ……覚えていないわね、そんな大昔のこと。 |
大げさにため息をつく慈。 | |
慈 | はぁ、これだよスリーズブーケ。 素直なのは花帆ちゃんひとりかー。 |
急に絡んできた慈に、眉根を寄せる梢。三年生三人きりなので、普段よりも気安い態度。 | |
梢 | なんなの……。 だいたい、私たちが一年生の頃より、 今の一年生たちのほうがよっぽど仲良しさんでしょう。 |
素直に認める慈。しかし綴理は首を傾げつつ。 | |
慈 | それはそう。 |
綴理 | そうかな。 こずもめぐも、声の大きさでは負けてなかったよ。 |
慈 | 仲良しの基準は、ボリュームじゃあないんだよ。 |
梢 | でも……そうね。 親密な関係にはほど遠かったけれど、違う関係性はあったかもしれないわね。 |
梢 | 綴理も慈も、その実力に関しては、疑いようもなかったから。 ステージの上では、心強かったわ。 |
ふたりがじっと梢の顔を見つめる。慈は(いいこと言うじゃんコイツ……)という気持ち。 | |
慈 | ……。 |
梢 | ……なに。 |
慈が、ご苦労様、とばかりに梢の肩をポンポンとする。 | |
慈 | やればできるじゃん。 |
梢 | ~~っなぜ上から目線なのかしら! |
綴理 | すずもぎんもひめも、もう少しビッグボイス選手権を 開いた方がいいんじゃないかな。 こずとめぐを見習って。 |
慈を見つつ言う梢。 | |
梢 | こういうのは、反面教師って言うの。 |
慈 | まー、確かにちょっといい子過ぎるかなー、って思うときはあるけどね。 |
梢 | 私たちの代に比べたら、みんなそうでしょう……。 |
綴理 | こずはがんばってたよ。 |
梢 | あなたたちも含まれているのよ! |
梢 | はぁ、まったく……ふふ、もう。 先輩になったって、いつまでも変わらないんだから。 あなたたちは……。 |
綴理 | 楽しみだね、竜胆祭。 |
慈 | そのあとの、ラブライブ!予選大会もね! |
花帆 | じゃあじゃあ、だいきゅうばとるー! |
慈 | お、今のは。 |
綴理 | ね、見にいく? |
梢 | というか、もう下校の時間ね。 せっかくだから声をかけていきましょうか。 |
梢、フレームアウト。 | |
学校の廊下に綴理と慈が映っている中、少女たちの声がする。 | |
梢 | あなたたち、続きは明日ね。 さ、帰りましょう。 |
吟子&小鈴&姫芽&花帆&さやか&瑠璃乃 | はーい! |
残った綴理と慈の会話。 | |
慈 | あの子たちにとっては、初めての竜胆祭。 |
慈 | 余計なプレッシャーとか感じずに、楽しんでくれたらいいんだけど、 そーゆーわけにもいかないかな。 |
綴理 | ……ボク、余計なこと言っちゃったかな。 |
案の定気にしていた。暗い顔をする綴理を、慈が肘でつつく。 | |
慈 | なーに言ってんの。 あんたは、あの子たちならできるって信じてるから、ああ言ったんでしょ。 |
慈 | 期待される側は、案外嬉しいもんだよ。 知ってるでしょ? |
微笑む綴理。どういたしまして、の顔の慈。 | |
綴理 | うん……。 うん、ありがと、めぐ。 |
綴理 | 竜胆祭、楽しみだね。 |
カメラがパンアップ。夕暮れ空を映して、前編終了。 |