第1話『Brand New Stories!!』
PART 4
小鈴 | ようこそ! セラスちゃん! 泉さん! きょうは徒町たちと一緒だね! |
泉 | ああ、よろしく。 |
セラス | ……感情を捨てたmarionette。 でも魂は…… |
セラス | “煉獄”い。 |
セラス | DOLLCHESTRA、ミス・セラス。 |
さやか | ……なんですか? |
セラス | 考えてきた。 DOLLCHESTRAに入ったときの、名乗り。 |
小鈴 | わぁ、格好いいね! |
さやか | ど、独特ですね。 |
セラス | 泉にはできないでしょう。 こういうこと。 |
泉 | おっと、それは挑戦状かな。 私にできないことはないよ。 |
さやか | 泉さんも、やるんですか!? |
泉 | 神に愛された才能。 桂城 泉。 |
さやか | お、おお……。 |
小鈴 | すごい! ふつうに格好いいです! |
泉 | ありがとう。 |
セラス | ふつうに?? |
セラス | わたしのは、二百案の中から選び抜いた、傑作。 |
さやか | そこまで自信があったんですか!? |
小鈴 | そんなにいっぱいDOLLCHESTRAのことを考えてくれてたなんて…… 徒町はもう、感動だよ! 感動しかないよ! |
さやか | そ、そうですね。 もしDOLLCHESTRAに入ることになった際には、 また後日改めて検討しましょうか……。 |
泉 | それじゃあ、今回は私が聞こう。 DOLLCHESTRAは今年、なにか目指している夢や、目標があるのかな? |
さやか | そうですね、それに関しては。 まず先に、場所を変えましょうか。 |
セラス | 場所を。 ……お出かけ? |
小鈴 | はい、お出かけです! |
セラス | やったー。 スクールアイドルのお姉さんと、金沢観光だー。 |
さやか | か、観光ではないかもしれません。 |
セラス | 観光だ! |
さやか | 確かに、身近過ぎて忘れていましたが、近江町市場は観光地でしたね。 |
セラス | DOLLCHESTRAの今年の活動はまさか……海の幸食べ歩き……!? |
さやか | それはスクールアイドルクラブの活動ではありませんので……。 |
セラス | 可能性を狭めちゃだめだよ、さやか先輩。 |
さやか | えっ? |
セラス | スクールアイドルには無限の可能性があるよ。 食レポ系スクールアイドルがいても、いいと思う。 |
さやか | いいとは思いますが! |
小鈴 | セラスちゃんは、魚好き? |
セラス | 加熱していないものが特に好きです。 |
小鈴 | お刺身が好きってこと? |
セラス | いかにも、です。 |
小鈴 | じゃあ、きっときょうは楽しいよ! |
泉 | それで、どうしてわざわざ校外に? |
さやか | 再建期のわたしたちが、新たに105期の目標を探すため、ですね。 |
セラス | というと? |
さやか | スクールアイドルクラブの102期生の先輩方は、 本当にすごい方々だったんです。 |
泉 | ああ。 ライバル校として注目してたから、経歴は知っているよ。 3年連続全国大会出場を成し遂げた『蓮ノ大三角』だろう? |
さやか | ええ。 特にこのDOLLCHESTRAは、 綴理先輩の表現力によって支えられていたと言っても、 過言ではありませんでした。 |
さやか | 喜び、楽しさ、悲しみ、切なさ。 |
さやか | 時にはただ明るいだけではない感情も、次々と歌にして、 綴理先輩はありのままの自分たちを表現し続けていました。 |
さやか | わたしも小鈴さんも、 そんなDOLLCHESTRAの『自己表現』が好きだったんです。 |
さやか | ですから。 綴理先輩がDOLLCHESTRAを卒業した今。 わたしと小鈴さんは、もっと自分のことを知らなければなりません。 |
さやか | そうして新たに作る曲では、しっかりと向き合った自分の気持ちを、 時に繊細に、時に大胆に、今を綴ってゆきたいんです。 |
セラス | おお~……。 そういうのも、“あり”……。 |
泉 | つまり、自分探しの旅、ってことかな。 |
さやか | ひらたく言ってしまえば、そうですね。 |
さやか | 普段は会わない人と出会い、普段とは違うことをして、 より自分たちの理解を深めるために、近江町市場にやってきたというわけです。 |
れいかさん | あら小鈴ちゃん! もしかしてその子って、後輩ちゃん!? |
小鈴 | 実はその通りです、れいかさん! |
れいかさん | そう、スカーフ……。 今年の一年生はもう緑なのねえ。 |
セラス | はじめまして、105期生のセラス柳田リリエンフェルトといいます。 |
セラス | 父は日本人。 母はドイツ人でやらせてもらってます。 |
小鈴 | そうだったの!? |
セラス | はい。 まあ、日本語しか喋れないんですけどね。 |
れいかさん | かわいいわねえ。 チャーミングで、まるでお人形さんみたい。 DOLLCHESTRAにぴったりじゃない! |
セラス | はい。 DOLLCHESTRAのセラスちゃんです。 これからよろしくおねがいします、小鈴先輩。 |
小鈴 | ええっ!? 徒町は嬉しいけど、まだみらくらぱーく!行ってないんでしょ!? |
セラス | ぐっ……そうだった……。 ウソでしょ……? どこも魅力的すぎる……。 |
泉 | なるほど。 今年のDOLLCHESTRAは自己表現を極めてゆくためのユニットか。 |
泉 | それぞれ特色があって、面白いね。 |
さやか | ありがとうございます。 |
さやか | いかがですか? 泉さんは。 |
さやか | もしDOLLCHESTRAが気に入ってくださったのなら、 もちろん歓迎いたしますよ。 |
泉 | 私は。 |
泉 | 私も、セラスと同じだよ。 どこも魅力的で、なかなか選べないね。 |