第12話『期待はおもい!』

PART 2

さやか
えっと……どうしましょう。
竜胆祭は今週末。
梢は全力で風邪を倒してくるとして……。
花帆
あ、あたし、梢センパイの看病頑張ります!
瑠璃乃
気持ちは分かるけど、ひとりで頑張るのは大変だから、
花帆ちゃんメインで持ち回りにしよ?
花帆
分かった、ありがと瑠璃乃ちゃん!
さやか
そうすると……あとはこの数日の練習スケジュールについてと……
他の部活や学校とのやり取りについてですね。
さやか
全部、梢先輩がやってくれていたんですよね……。
花帆
うぅ、偉大なる梢センパイ……。
さやか
この辺り、全部竜胆祭までに片づけなければならないものみたいで……。
綴理
…………うん、分かった。
さやか
……綴理先輩?
綴理
ボクがーー部長代理だ。
花帆&さやか&瑠璃乃&慈
えー!?
綴理
こずが、これまで頑張ってたこと……ボクが全て引き継ぐ。
きっとこずも、空で笑ってくれるはずだ。
花帆
もう帰ってこないみたいな言い方!!
瑠璃乃
でも確かに、綴理先輩が1番こう、梢先輩と長いわけじゃん?
もしかしたらそれが良いんじゃ?
待った。
瑠璃乃
めぐちゃん?
瑠璃乃
あ、なに言うか分かったぞぅ?
もしも部長代理ーーつまり次のリーダーが必要だと言うのなら。
それは私じゃないかな!
花帆
合ってた?
瑠璃乃
合ってた。
ええい、もう少し「おおー!」とか、「そうだよね!」とか、
歓迎のリアクションをしなさい、そこのふたり!
綴理
めぐ。 負けないよ。
……むっ。 綴理も、ここで折れないなんて。
昔とは違うね。
綴理
成長したからね。
さやか
これはどうすれば良いんでしょうか……。
瑠璃乃
んー。 確かにリーダーってことなら
めぐちゃんで間違いないとは思うんだけど……。
花帆
だけど?
瑠璃乃
梢先輩の代わりってことは、
部長としていろいろお仕事をするってことでしょ?
瑠璃乃
……めぐちゃんかあ。
るりちゃん!?
花帆
じゃ、じゃあ! お試しってことで、お二人でやってみませんか!?
梢センパイのやっていたお仕事ならある程度分かります!
花帆
あたし、けっこう横で見てたので!
綴理
いいよ。 受けて立つ。
どちらがリーダーに相応しいか見せてあげようじゃないか!
さやか
え、これ勝負なんですか!?
綴理
おかしい。
間違ってる。
瑠璃乃
まずめぐちゃんは、もっと漢字読めるようになろうね……。
漢字なんてこの世に要らないんだよ!
るりちゃんだってアルファベットさえあれば良いでしょ!?
瑠璃乃
うぇ!? あ、あー、た、確かに
英語さえあればべりーせんきゅーあんだすたん?
さやか
綴理先輩も……さすがに、
練習スペース貸し出し理由が『れんしゅう』じゃ通りません。
綴理
『しゅうれん』にするべきだったか。
さやか
頑張ってる感を増やせってことじゃないです。
ぐぬぬ。
じゃあ誰に梢の代わりができるっていうの!
綴理
こず、ごめん。 ボクはこずにはなれないみたいだ。
さやか
梢先輩の代わり、ですか。
そうだよ! 書類仕事をやってさ、練習スケジュール管理して、
みんなをちゃんと引っ張って!
さやか
と言いましても……
皆さんを前にリーダーシップを取れる人、ですか。
瑠璃乃
むり。
花帆
あ、あたしがやるしかないか……!
さやか
さ、流石に厳しくないですか。 梢先輩のこともありますし、
スリーズブーケとしての準備も花帆さんのお仕事になっているのでは……。
花帆
ぐ。 で、でも、やれることは全部やりたいし……!
さやか
……。
さやか
分かりました。
花帆
えっ?
さやか
梢先輩が居ない分、みんなで協力し合うことが大事です。
それに、わたしがやるのが1番邪魔にならないと思いますし……。
瑠璃乃
くっ、そうか……すまねえさやかちゃん……!
なんだって協力はするから……!
さやか
そんな大げさにしなくても大丈夫ですよ!
綴理先輩、慈先輩。 その、どうでしょう?
まあ、さやかちゃんがやってみたいなら……。
綴理
ん。 さや、いつでもなんでも手伝う。
さやか
ありがとうございます。
さやか
皆さんが良いのでしたら、不肖村野 さやか、
部長代理の臨時リーダーを務めさせていただきます。 頑張ります!
瑠璃乃
さやかちゃーん!
委員会の人が、部活会議に出す書類できてますかーってー!
さやか
はい! こちらに!
瑠璃乃
おおー! さっすがー!
竜胆祭のステージさ、
それぞれのユニットのことを考えても、1時間は確保したいかなー。
さやか
分かりました。 じゃあ申請書には……ええっと。
さやか
スクールアイドルクラブがスクールアイドルとして、
部活の存在意義を示すためにも、それぞれのユニットを表現するためにーー。
ええー? すらすら出てくるじゃん!
さやか
今日ですが、普段のメニューに加えて、
竜胆祭へ向けての練習もしなければいけません。
さやか
なので、普段梢先輩が組み立ててくれている練習内容に、調整を入れました。
花帆
はいはい! あたしどうすれば良いかな!
さやか
そうですね、今日はひとまずーー。
綴理
スリーズブーケのこと、大変だろうから。
ボクが、さやとかほは見るっていうのと。
花帆
おお! ……っていうのと?
綴理
歌詞とか、曲とか。
こずとやり方違うけど、できることあれば、手伝うよ。
花帆
綴理センパイ~、ありがとうございます!!
綴理
ん。 さやが、かほ大変そうだからできることしたいんだって。
さやか
言わなくてよくないですか!?
花帆
さやかちゃんもありがとー!!
さやか
い、いえいえ。
瑠璃乃
やー、めっちゃばっちりって感じだね! リーダー様ぁ!
ま、がんばってると思うよ私も。
さやかちゃんは漢字も書けるしね……。
瑠璃乃
めぐちゃんさあ……。
さやか
あの、ほんとうに!
みんなでやれることをやろうというだけで!
花帆
それは謙遜だよー、さやかちゃん!
あとね、一応、梢センパイから伝言を預かっております。
花帆
『さやかさんなら大丈夫。 困った時の相談だけ、忘れないように。』
とのことです!
さやか
あ、あはは……。
梢先輩にも、頑張りますとお伝えください……。
綴理
さや。
さやか
は、はい!
綴理
頼りにしてる。
さやか
っ。
さやか
わたし……向いてるのかな……。