第14話『Link!Like!』
PART 6
梢 | お待たせ、花帆さん。 どうやら許可はいただけそうよ。 |
花帆 | 梢センパイ、ほんとにここでライブをするんですか……!? あたしのトラウマポイントなんですけど……! |
梢 | あなたをかばって、 私がステージから落ちた場所だものね。 ふふ。 |
梢 | でも、ここでリベンジに成功したら、 いい思い出に塗り替えられると思わない? |
花帆 | それは、確かに……! |
梢 | もちろん、まだ下見の段階だから、ここに決めたわけじゃないわ。 時間の許す限り、いろんな場所を巡ってみましょう。 |
梢 | というわけで、次はーー。 |
花帆 | わぁ! センパイ、金沢駅前ですよ! ひろーい! ピカピカー! 大都会ですねえ! |
花帆 | ハッ……! 梢センパイ、ここWi-Fiが飛んでますよ!? ネットに繋げられます! スクコネが開けます! |
梢 | あら……本当だわ。 |
花帆 | い、今だけちょこっと配信するのは、だめでしょうか!? |
花帆 | 急に配信をおやすみして、みんな心配してるかもですし……。 |
梢 | うーん……。 申し訳ないけれど、さすがに控えてもらおうかしら。 |
梢 | ネット禁止令の最中、堂々とネットに繋ぐのは、 火に油を注ぐことになりそうだわ。 |
花帆 | うう、そうですよね……。 すみません……。 |
梢 | 大丈夫よ。 焦らなくても、すぐにすべて元通りになるわ。 私もね、配信できないとなんだか日々に張り合いがない気がして。 |
花帆 | ええっ、梢センパイもですか!? |
梢 | 今でも、得意ではないけれど。 |
梢 | でも、画面の向こうにいる人の存在をいつも身近に感じるから、 スクールアイドルとしてがんばれているのかもしれない、って思うの。 |
花帆 | あたしもわかりますその気持ち! すっごく! |
花帆 | ーーって! 梢センパイ、スマホ隠してください! |
梢 | え? |
梢 | どうしたの? 花帆さん。 |
花帆 | い、いえ……。 今、不吉な人影が見えた気がして……。 き、気のせいならいいんですけど、ぜんぜん、あはは……。 |
寮母 | あら、日野下さん、乙宗さん。 買出しの途中で出会うなんて、偶然ですね。 |
花帆 | ヒッ。 |
梢 | 寮母さん、こ、こんにちは。 お休みの日なのに、大変ですね。 |
寮母 | いえいえ、これが私の仕事ですから。 あなた方こそーー。 |
花帆 | あ、あたしたちは外出届がありますので! 合法です! 合法外出! |
寮母 | そうですか。 今は外出届もなかなか受理してもらえない状況だと、 聞いていましたけれど……。 |
花帆 | ひぃ……それは、その……。 助けて梢センパイ……! |
梢 | 花帆さん、花帆さん、大丈夫よ。 寮母さんは、規律には厳しいけれど、優しい人よ。 |
寮母 | いいんですよ。 怖がられるのも私の仕事のようなものですから。 楽しい時間を、お邪魔しましたね。 |
寮母 | 不条理なことも多く起こるかもしれませんが……。 |
寮母 | 精一杯、後悔のないようにがんばってくださいね。 スクールアイドルクラブのお二方。 |
梢 | え? ええ……ありがとうございます。 |
花帆 | センパイ、今のって……応援、してくれてるんでしょうか……? |
梢 | そう、よね。 もしかしたら、寮母さんは……本当は、容認派のひとりなのかしら。 |
花帆 | えっ!? じゃああたし、今から追いかけてお礼をーー。 |
梢 | いいえ、花帆さん。 だったらなおさら、私たちが学校を変えるために、 がんばらなくっちゃ。 |
梢 | 寮母さんも言っていたでしょう。 |
花帆 | 精一杯、後悔のないように……。 |
梢 | ええ、でもきっと大丈夫。 私たちは決してひとりで踊るわけじゃない。 |
梢 | たくさんの人が応援してくれているみたいだから、ね。 |
花帆 | たくさんの人が……はい! |
花帆 | それじゃあさやかちゃんは、 フィギュアスケートの会場に話を聞きに行ったんだ? |
さやか | はい。 あそこはDOLLCHESTRAにとっても、思い出の場所ですから。 |
さやか | ライブをする分には構わないと、 許可をいただけました。 |
花帆 | ええー! すごい、よかったねえ! |
瑠璃乃 | ルリは、まだまだ悩んでるんだよねえ……。 めぐちゃんのオメガネにかなう場所があるといいんだけどなあ~。 |
花帆 | ふたりともがんばっててすごいな。 あたしも……もっとみんなの役に立たなくっちゃ! |
梢 | お待たせ、花帆さん。 みんなも。 |
綴理 | ステージ探し、シーズン2。 |
慈 | 心当たりのある場所には、あらかた許可をもらったことだし。 きょうからは、ユニットごとに新たなライブステージの開拓だね。 |
梢 | ええ、候補地はいくらあっても構わないもの。 |
さやか | スクールアイドルクラブの未来がかかっていますからね! |
瑠璃乃 | だきょーせずにいこ! |
梢 | そうよ。 みんなでいちばん、ばえばえなスポットを見つけましょう! |
さやか | ばえばえ……。 |
梢 | つ、使い方、間違っていたかしら。 |
綴理 | 大丈夫、合ってるよ。 よし、だったらボクたちがばえばえチャンピオンを目指そう、さや。 |
さやか | は、はい! |
慈 | ふっふっふ、こっちには配信クイーンと、 お散歩大好きおひとりマンがいるんだから。 |
慈 | ばえーな景色は、私たちのものだよ! |
瑠璃乃 | ばえーん!(鳴き声) |
梢 | もう! みんな、おかしかったらおかしいって言って頂戴! |
花帆&さやか&瑠璃乃&綴理&慈 | あはは。 |
花帆 | でも、なんとかなりそうですね。 |
花帆 | ネット禁止令が出たときは、どうなることかと思いました。 |
梢 | 本当にね。 ただ、まだまだこれからやることは山積みよ。 |
梢 | 場所を決めて、ステージを作って、セットリストを組んで、 ダンスも歌も完璧にして……。 |
花帆 | わあああ! い、今はとにかく、 目の前のことにひとつひとつ一生懸命取り組んでいきましょう! |
梢 | ふふ、そうね。 |
梢 | そして、この中の誰かが、 ラブライブ!決勝大会へと足を進めるの。 |
花帆 | この中の、誰かが……。 |
花帆 | ……あたしは。 |
梢 | 花帆さん? |
花帆 | い、いえ……精一杯がんばります……! |
花帆 | 精一杯……。 あたしは、あたしにできることを……! |