第17話『ルリ思う。』
PART 3
瑠璃乃 | 2週間後のお披露目ライブまでに、ルリが考えてることをまとめる。 そして、ステージでそれをめぐちゃんに見せつける。 |
瑠璃乃 | それがうまく行くかは分かんないけど……そもそも前提、 やることそのものはしっかり決めなきゃ、 みんなまで巻き込んだ意味がない……。 |
瑠璃乃 | なのに。 |
綴理 | ……右がのどぐろ。 左はのどしろ。 |
瑠璃乃 | ルリ、最初から崖っぷち!! |
瑠璃乃 | あー、綴理先輩! へいへーい! 今回はめっちゃよろしくです!! 綴理先輩とルリで、超楽しいライブ作りましょー! |
綴理 | ん。 がんばろー。 |
綴理&瑠璃乃 | ……。 |
瑠璃乃 | やー、めぐちゃんとか、さやかちゃんに負けないように、 盛り上げていかないとですね! いえー! |
綴理 | ……いえー。 |
瑠璃乃 | やっべ。 めちゃめちゃ気ぃ遣って合わせてくれてるじゃん……! 綴理先輩が楽しめる空気感、先にさやかちゃんに聞いておくんだった……! |
綴理 | るり。 いえー。 |
瑠璃乃 | い、いえー! |
綴理&瑠璃乃 | ……。 |
綴理 | ? ごめん。 |
瑠璃乃 | いやいや謝られるようなことは何も!! ……やばい、このままじゃルリの充電がほんとにヤバい。 |
瑠璃乃 | ここで充電切れたら終わる、一生先輩に合わせる顔がねぇ……! |
瑠璃乃 | あー……綴理先輩! ちょっと、他のみんなの……そう! てーさつ! てーさつに行きましょー! 敵を知り己を知ればってやつです! さあ! |
綴理 | ? |
花帆 | それじゃあ、 |
慈 | バイめぐー! |
花帆 | ぽちっ。 |
花帆 | や、やりきったー! 楽しー! |
慈 | うわー……こんなにぶっ通しで配信したのいつぶりだろー……。 今、何時ー? |
花帆 | わ、もう6時ですよ? 慈センパイ。 |
慈 | 8時間配信! あはは、ぜんぜんやれちゃうねえー。 |
花帆 | はー……このあとどーしますかー? |
慈 | お風呂入るでしょー? ご飯食べるでしょー? 寝るでしょー? |
花帆 | はい。 起きたら? |
慈 | また配信、しちゃう?☆ |
花帆 | いえーい! 慈センパイ最高! |
慈 | 花帆後輩最高! |
花帆&慈 | あははっ。 |
慈 | はぁ……お風呂は行くけど、ちょっと休もっか。 |
花帆 | ですねー……。 |
花帆 | そういえば、慈センパイ。 |
慈 | んー? |
花帆 | そのー。 瑠璃乃ちゃんと、なにかありました? |
慈 | ……べっつに、なんにもないけどー? |
花帆 | それはあった人の言い方だと思います! |
花帆 | 瑠璃乃ちゃん、言ってましたよ。 |
花帆 | このままじゃなにを言っても聞いてもらえないから、 見せつけなきゃー、って。 |
慈 | はいはーい、花帆先生ー。 |
花帆 | はい、藤島さん。 |
慈 | 一方の言い分だけ聞くっていうのはどうかと思いまーす。 |
花帆 | それはたいへんもっともなので、どうぞ証言台へ。 |
慈 | とはいっても、私にも同じ言い分があるってだけなんだけど。 何にも聞いてくれないのはるりちゃんの方じゃんって。 |
花帆 | 瑠璃乃ちゃんがなにも聞いてくれないなんてことあるんですか!? |
花帆 | 充電ある限り『いーよいーよ全然きくー』って、 なんでも聞いてくれるの間違いじゃ! |
慈 | るりちゃんのことなんだと思ってんだ……。 ……まあ、頑固なるりちゃんはお外じゃあんま見せないかもね。 |
慈 | 普段はケンカとかも、世界一嫌いだろうし。 |
慈 | スクールアイドルのこと好きになってくれたのは嬉しいけど、 あとで嫌な思いするのはるりちゃんの方なのになー。 |
花帆 | ……。 |
慈 | みんなを楽しませようと思ったらさ、 先にそういう盛り上がる場所を作って、 「ついてこーい!!」ってやる方が良いに決まってるじゃん? |
花帆 | 瑠璃乃ちゃんは、違うことをしようとしてるんですか? |
慈 | まだ仲良くない子たちに 「良かったら来てほしいな」って、遠慮がちに言ってる感じ。 |
慈 | それじゃせいぜい、みんなに「行けたら行くね」って言われておしまいだよ。 |
花帆 | ……経験あるんです? |
慈 | ま、ね。 失敗して初めてわかることがあるって、知ってるけどさ。 それでも私は、るりちゃんに失敗してほしくない、だけ。 |
花帆 | でも、瑠璃乃ちゃんはーー。 |
と、そこにどんどんどんどん、と激しいノック。 | |
瑠璃乃 | 開けろ! 偵察だ! |
綴理 | ていさつだー。 |
花帆 | 警察!? |
慈 | 偵察っつったけどあの子。 ……花帆ちゃん、出るね。 |
花帆 | あ……はい。 |
がちゃっと扉が開く。 | |
綴理 | るり、手帳手帳。 |
瑠璃乃 | おー! 手帳手帳! 偵察だー! |
慈 | 降参する気になった? |
瑠璃乃 | 誰がだ! |
慈 | じゃあ私から言うことは何もないね! |
慈 | 今、花帆ちゃんと超楽しく、 配信に来てくれたみんなをメロメロのめぐ党にするので忙しいの! |
花帆 | めぐ党だけにするつもりないんですけど! |
瑠璃乃 | 花帆ちゃん。 |
花帆 | 花帆ちゃんだよ。 |
綴理 | 綴理ちゃんだよ。 |
花帆 | あ、綴理センパイもこんばんは。 えっと……遊びのお誘い? |
瑠璃乃 | ふたりがどんな感じなのか見に来ただけだよ。 めぐちゃんが補習室に居ないから探し回るはめになった。 |
慈 | 真っ先に私の部屋でしょ普通! |
花帆 | あたしたちはとりあえずたっくさん配信してたよ。 明日は、配信でコメントしてくれた子の学校でライブやる予定。 |
瑠璃乃 | そっか。 いいね、楽しそう! |
慈 | るりちゃんがフッた、私のアイディアだけどね。 るりちゃんがフッた。 |
瑠璃乃 | べつにあの時も、楽しそうだねとは言ったじゃん。 |
慈 | がるるるるる。 |
慈 | そ・れ・で。 るりちゃんは誰かを楽しませることは、できてるのかな☆ |
瑠璃乃 | むぐっ。 |
綴理 | 今探してる。 だから……そのための偵察? |
慈 | 探す……? |
瑠璃乃 | いや、えっと、それはその。 つ、綴理先輩……! |
慈 | へーーー! 残念だけど、私たちは超楽しくこの先のイベントも、 みんなと超盛り上がってくるから! |
慈 | こっちに合流するならいつでも超考えてあげる! |
瑠璃乃 | ぐ、ううう! お、憶えてろー! |
慈 | 綴理、ごめんね。 るりちゃんのこと、よろしくお願いします。 |
慈 | って、これはまじすぎかー。 |
綴理 | よくわかんないけど。 るりは大丈夫だよ? めぐも頑張ってね。 |
慈 | ……ん。 |
慈 | 大丈夫だよ、って……。 なーんかなー。 綴理にはなんか見えてるの……? |
花帆 | えっと、慈センパイ? |
慈 | なんでもないよ、花帆後輩。 ま、綴理がいるし、そーゆー意味じゃ良かったかもね、シャッフルユニット。 |
慈 | ……やけどは最小限で済むといいな。 |
花帆 | ……明日のライブ、瑠璃乃ちゃんが悔しがるくらいのものにしましょうね! |
慈 | ん! めぐ党さんのためにね! |
花帆 | だけじゃなくてー! |