第18話『いずれ会う四度目の桜』

PART 9

96 セリフ6 人物
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  1. うーん……。

  2. 綴理

    もう1曲作るなら、やろう。

  3. そうね……。 それももちろんなのだけれど……。

  4. やっほー。
    ……一年ズは?

  5. この時期の一年生は卒業式の予行で、会場設営の仕事があるのよ。
    去年私たちもやったでしょう?

  6. 綴理

    この前3人だったときも、それだった。

  7. あー、そんなこともあったっけ。
    二年で良かったー。

  8. 梢&綴理&慈

    ……。

  9. ……昼間、沙知先輩来たじゃん?

  10. そうね。
    この部室を見納め……だったわね。

  11. やっぱり、いつも明るい沙知先輩でも卒業前はしんみりするのかな。

  12. それは、そうでしょう。
    3年間を過ごした学び舎を離れることになるのだもの。

  13. 私だって、その時になったらどう思うか分からないわ。
    ……ただ。

  14. 綴理

    ……それだけじゃない気が、した?

  15. 慈&梢

  16. ……綴理はそう思った?

  17. 綴理

    分かんない。 こずの言う通りかもしれないし。
    ただ……留年したくは、なさそうだった。

  18. ふふっ。
    留年したくはないでしょう。 でも、そうね。

  19. この学校に対する未練というより、私は沙知先輩のあの目に……
    なんというか、後悔のようなものを感じた気がするの。

  20. 綴理

    後悔……さちが……。

  21. ま、ふたりもそんな風に思ったんだったら、話が早いや。

  22. 慈?

  23. 理由はわかんないけど、シンプルにさ。

  24. 残り短い学校生活、沙知先輩にあんな顔で過ごさせるの、
    なんか腹立つなーと思ったの。 私はね。

  25. せっかく沙知先輩のためにーってこっちがやってる時だからかな、
    余計に。

  26. 綴理

    そうだね。 ボクもそう思う。
    じゃあ、行く?

  27. 話が早いじゃん。
    話が早くなったじゃん、綴理。

  28. ……腹が立つかは、おいておいて。
    そうね、私もーー最後くらいは、良い後輩で居たいわ。

  29. 沙知

    突然こんなとこ呼び出すからびっくりしたよ。

  30. 沙知

    もうあたしは生徒会長じゃあないんだからね?
    鍵は借りられたけども。

  31. すみません。
    ここが1番、落ち着いて話せるかと思いましたので。

  32. 沙知

    ふむ?

  33. 沙知

    ……なんというか、この4人というのも、久しぶりな感じがするねぃ。

  34. 沙知

    綴理の好きなお菓子も……まだあったかなぁ。

  35. 綴理

    ありがと。

  36. 少しは遠慮というものをね……。

  37. 沙知

    まあまあ、良いじゃないか。
    えっと、この戸棚の奥にしまってあったから……。

  38. あー私が取る私が取る、無理しないでくださいちっちゃいんだから。

  39. 沙知

    ちっちゃいゆーな!

  40. 綴理

    昔、こずがさ。

  41. 綴理

    ああやって高いところに手を伸ばしてたさちの両脇をさ、
    後ろからがばっと持ち上げてさ。

  42. あー……。

  43. 綴理

    さち、あの日は何も言わずに、日が沈むまで窓の外を眺めていたね。

  44. 良かれと思ってやったのよ、私は……!

  45. ……あのさ、沙知先輩。

  46. 沙知

    ん、しょ、くんのっ……。
    ん?

  47. なんか、卒業以外でセンチになってることないですか?

  48. わりとそんな感じがして、私たちみんなで来たんですよ。

  49. けっこう、頼りになる後輩でしょ、私たち。

  50. 沙知

    そうだね。

  51. 沙知

    ふー……いやぁ、情けないね、あたしは相変わらず。
    そんなに分かりやすかったか。

  52. 綴理

    こずもさちも、分かりにくいけど、付き合いも長いので。

  53. 私のことは今はいいのよ……。
    沙知先輩、何かあるなら話してもらえませんか。

  54. 私たちはただ、卒業までの時間を、
    沙知先輩にそんな顔で過ごしてほしくないだけなんです。

  55. 沙知

    ……そう、だねぃ。

  56. 沙知

    キミたちにとって、後輩はどんな子たちだい?

  57. ……どんな、ですか。
    一言で言い表すのは、とても難しいのですが。

  58. 綴理

    スクールアイドル、とか……?

  59. なんか……全部。 みたいな。

  60. 沙知

    今はそれで十分さ。 改めて、大切な出会いだったみたいだね。
    あたしも、自分のことのように誇らしい。

  61. 沙知

    キミたちが、一年生との出会いを嬉しく思っているように……
    あたしにとっても、キミたち新入生は……救い、だったんだ。

  62. あの問題児どもが?

  63. 綴理

    自分で言うんだ?

  64. 沙知

    あはは、そうとも。

  65. 沙知

    三年生の先輩たちが卒業して……
    あたしはひとり、この部活に残された。

  66. 沙知

    ……新入生が誰も入って来なければ、ここの部員はあたしだけ。
    ……つまり、廃部が間近に迫っていたんだ。

  67. ……。

  68. 沙知

    三年生の先輩たちは、あたしにとっては恩人でね。

  69. 沙知

    理事長の孫娘として、言われた通りのことしかしてこなかったあたしを……
    このスクールアイドルの道に引き込んでくれた大切な人たちだ。

  70. 沙知

    だから、本当に怖かったんだ。

  71. 沙知

    もしも誰も入って来なかったら、
    誰もスクールアイドルクラブに興味を持ってくれなかったらーー。

  72. 沙知

    これまで先輩たちが積み上げてきた、重ねてきた歴史を、
    あたしが潰すことになるって。

  73. 綴理

    そうならなくて良かった。

  74. 沙知

    そうだね。 最高の後輩に恵まれたおかげだ。

  75. 沙知

    あたしは、先輩に恵まれた。

  76. 沙知

    後輩にも、本当に恵まれた。
    でも、だからかな。

  77. 沙知

    その間を繋いでいたあたしは、先輩に恵まれた分を、
    後輩に返せた自信がない。

  78. 沙知

    こうして、キミたちにこんなことを言ってしまってるんだから、
    なおさらね。

  79. ……。

  80. 沙知

    思えば、多くつまずいてしまった。
    キミたちを傷つけてばかりだったし……助けてもらってばかりだった。

  81. 沙知

    だから、だからあたしはせめてーー。

  82. 綴理

    こず、めぐ。

  83. 沙知

    っ?

  84. 綴理

    わがまま言ってもいいかな。

  85. いいよ。

  86. ものによる、と言いたいところだけれど。
    きっと、考えていることは同じだから、構わないわ。

  87. 沙知

    キミたち、何を。

  88. 綴理

    聞いて、さち。
    さちにしか届かない、150点。

  89. 沙知

    っ……。

  90. 綴理

    ごめんね。

  91. 綴理

    さちに貰ったものは、後輩に返せばいいって言われてたけど……
    どうしても、さちにも返したかった。

  92. これが、私たちの気持ちです。

  93. ーーねえ、沙知先輩。
    私たちがここに居るのは、あなたが居たからだよ。

  94. 沙知

    うっ……くっ、ぁ……。

  95. 梢&綴理&慈

    以上、第102期蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブでした。