第1話『Brand New Stories!!』

PART 1

セラス
……。
セラス
わたしは、先輩に誘われて、この学校にやってきました。
セラス
わたしは、瑞河女子のスクールアイドル部が大好きです。
だから。
セラス
瑞河女子の一員として、いつかラブライブ!のステージに上がるのが、
わたしの夢です。
セラス
……。
セラス、ここにいたんだね。
セラス
あ、泉。
もう学校を閉める時間らしい。
いこう。
セラス
……うん。
部室を出るふたり。
そこで後輩に出会う。
海莉
セラス先輩!
セラス
あ。
海莉
これで離れ離れになっちゃうなんて、そんなの、寂しすぎます……!
またいつか、必ず、瑞河を復活させましょうね~!
それが叶わないことだとわかっているのか、セラスは寂しそうに微笑む。
セラス
……うん、そうだね。 海莉。
セラス
元気でね。
海莉
……。
先輩も……お元気で~!
……。
その様子を微笑んで見守っている泉。
瑞河の卒業式からしばらく経ち、蓮ノ空の入学式前日。入寮する予定で長野から金沢へと異動をしている最中のセラスと泉。
ふたりは向かい合わせに座っており、私服姿。
セラス
ね、泉。
わたし、薄情なのかな。
どうしてそう思う?
セラス
瑞河がなくなるのは、寂しいよ。 すごく。
セラス
だけど、心残りは、もう、あんまりないんだ。
セラス
今は、新しい世界に飛び込むのが楽しみで……ワクワクしてるの。
セラス
あんなに、瑞河を守るために、必死でがんばってきたのに。
もし、最後までやり遂げることができなかったら、
あなたは今も後悔の中にいただろう。
それもこれもすべて、彼女たちのおかげだね。
ラブライブ!には出場せず、メンバー全員で新たな夢を追いかける……。
途方もない夢だ。
けれど、こんなこと言われたら、仕方ない。
嫌でも、未来が楽しみになってくるさ。
セラス
……うん。
セラス
なんたって、泉が自分で選んだ蓮ノ空だもんね。
そうとも。
どう考えても、蓮ノ空女学院が、いちばん面白そうだった。
決勝で私を破った学校だ。
あれだけたくさんの情熱が集まる場所は、きっと、そう他にはない。
いい刺激がもらえるだろう。
セラス
ただ、言っておくけど、決めたのはわたしの方が早かったんだからね。
そうだったかな?
セラス
そうだよ。 泉が行かなくても、
わたしは蓮ノ空に行くつもりだったんだから。 真似っ子!
じゃあ、セラスは私に一切頼らず学園生活をがんばるってことだね。
セラス
え。
蓮ノ空は寮生活だ。 友達ができず孤立してしまったら、
それはそれは寂しいことになるだろう。
セラス
……。
セラスは寂しがり屋のくせに意外と人見知りで、
誰とでも会話はできるが、打ち解けるまでは時間がかかる。
もしかしたら一カ月……いや、
半年ほどぬいぐるみとしか会話しない日々が続くかもしれないけれど……。
挫けずひとりでがんばるんだよ。
セラス
なんでそういう意地悪言うの!?
泉だって、そんなに性格悪いのに、友達できるわけない!
残念ながら……私はどこに行っても、人に囲まれてしまうんだ。
セラス
そんなの、真の友達とは言えない。
ふっ……。
セラス
なに!?
できるといいね、『真の友達』ってやつが。
セラス
バカにしてるでしょ!?
心からあなたの幸せを願っている。
セラス
なってやるから。
泉の知らないところで、わたしひとりが幸せに。
セラス
友達だって1000人作る。
毎日が幸せで、いつだって人に囲まれて、笑顔で過ごすよ。
セラス
繋がりを大切に。 花ちゃんみたいに、周りの人を幸せにできるように……。
セラス
だってわたしは。
セラス
蓮ノ空のスクールアイドルに、なるんだからね。
セラス
……うん。
セラス
蓮ノ空女学院、一年生。
セラス 柳田 リリエンフェルト。
それからくすっと笑って。
セラス
制服、かわいい……。 まるで、お嬢様みたい。
一通り制服を楽しんだ後、緊張していたことを思い出すようにセラスは胸に手を当てる。ふぅ、と息をついた。
それから改めて前を向いて、入学式に臨むため、気合を入れ直す。
セラス
よし。
きょうから……がんばるぞ。
スクールアイドルクラブの部室の前までやってきたセラス。
一日でかなりコミュ力を使ってしまったので、再び、入室するために気合を入れ直すシーンから。
セラス
ふぅ、ふぅ……。 なんとか、放課後までやり遂げた……。
セラス
さすが、蓮ノ空……。
なんか、みんな性格が良さそうな人ばっかりで、助かった……。
セラス
ぬいぐるみ以外とも会話できる……。
セラス
でも……本番は、ここから。
グッと拳を握って、自分を追い込み、気合を入れたところで、後ろから声がかけられる。
セラス
最初が、肝心……。 ぜったいに失敗は、できない……!
そのままのあなたで、大丈夫だと思うけれど。
ハッとして振り返るセラス。
セラス
!?
セラス
泉、どうしてここに……。
まさか、大好きなわたしのことが心配で、付き添いに……?
やはりわたしのことを愛しているから……!?と素でうぬぼれるセラス。
泉はその言葉には取り合わず、スクールアイドルクラブを指差して。
いや、私もちょうどその部室に用があるんだ。
セラス
なるほどね。
セラス
それじゃあ泉。 トクベツに、わたしが付き添ってあげるよ。
泉ひとりじゃ心配だからね。 もう、しょうがないなあ。
セラスをスルーして、通り過ぎようとする泉。
あなたの親切は、その気持ちだけ受け取っておくよ。
必死な顔で、泉を通せんぼするセラス。
泉は苦笑いして、根負けしてあげる。
セラス
大特価! セール中!
わかった。 それじゃ、お願いしようかな。
あなたが一緒なんて、とても心強いよ。
ふっ、と上品に笑い、勝者としての高貴な笑みを浮かべるセラス。
セラス
そうでしょう。 感謝してね。
はいはい、お姫様。
セラス
いい? それじゃ、行くよ。
ああ。
改めて、深呼吸し、セラスがドアをノックする。
セラス
ふぅ……。
セラス
こんこ~んーー。
全員集合。セラスと泉がみんなの前に立っている。
セラスが一同に、ここまで来る経緯を説明し終わった、というところから。
セラス
ーーというわけで。
セラス
わたしは優しいので、心細くて震えた泉に付き添って、
部のドアをノックしてあげたんだよ。
小鈴、お姉さん先生っぽく、セラスを労ってあげる。
小鈴
さすがセラス後輩! 善行を積んでますね!
吟子
え、ほんとに?
真に受けた吟子が『そういう関係なの?』と見やると、泉は苦笑い。
まあ、そういうことでいいんじゃないかな。
ともあれ、これからよろしくお願いするね。
花帆がニコニコと腕を掲げる。
花帆
よっし、そうと決まったら!
花帆
きょうはふたりに、学校を案内だ~!